ETL Mark IIIにつづいて電気試験所で1957年に開発されたトランジスタ式電子計算機.基本回路はETL Mark IIIと同じくダイナミック回路を使用し,トランジスタは接合型を採用した.クロックは同期式,単相,180KHzとし,記憶装置は高速磁気ドラム(記憶容量1000語)を使用した.ETL Mark IIIを開発した高橋茂,西野博二,松崎磯一,近藤薫のグループに相磯秀夫(当時慶大大学院学生)および米田弘(当時松下通信工業実習生)が加わり開発された.磁気ドラムは和田弘(当時電子部・部長)の発案により,機械的な部分は北辰電機(後の横河北辰電機,現横河電機)に,磁気的な部分は東通工(後のソニー)に依頼して開発した.
内部10進法,ビット並列デイジット直列方式で,一語は並列4ビット・直列6桁の構成で,命令は29種類.加減算:3.4ms,乗算:4.8ms,除算6.4ms.ETL Mark IVは計画開始後13カ月の1957年11月に完成し,これをもとに商用電子計算機が日本電気,日立製作所,北辰電機,松下通信工業などにより相次いで開発された.
その後改造されたETL Mark IV Aが現在国立科学博物館に保存されている.