コンピュータ博物館について

当博物館は,日本の歴史的コンピュータとその開発に携わった人々に関する史料を集めたバーチャル博物館です.1956年にわが国最初の電子計算機FUJICとETL Mark IIIが作られてから半世紀が過ぎましたが,この間に作られた多くのコンピュータの写真と解説を始めとして関連史料多数が掲載されています.「温故知新」といいますが,これらの史料から将来へのヒントを得ていただければ幸いです.
尚,当博物館設置の経緯については,高橋茂歴史特別委員会初代委員長の解説をご参照ください.

平成18年2月20日
情報処理学会歴史特別委員会委員長 発田 弘

情報処理学会歴史特別委員会は1981年に設置され,まず1960年頃までの我が国のコンピュータ関連の歴史を,「日本のコンピュータの歴史」(1985年,オーム社)として,また1980年頃までの歴史を「日本のコンピュータ発達史」(1998年,オーム社)としてとりまとめました.また最近はコンピュータ史に関連する会誌「情報処理」の特集や連載の企画に協力しています.

一方,近年の急激な技術の進展に伴い,コンピュータシステムのオープン化とダウンサイジングが進み,またインターネットによって代表されるコンピュータネットワークが普及して,1990年以降の情報技術と情報産業界の様相はまさに一変しました.以前のメインフレームは急速にその姿を消しつつありますが,周辺装置にしても,入出力あるいは記憶媒体にしても,実物を目に することがすでに困難になっています.情報技術の歴史的な事実を後世に伝えるという観点からすれば,単にこれらを出版物として記録にとどめるというだけでは不十分で,関連する歴史的な実物,部品,当時の文書などの資料を収集・整理し,それらがしかるべき組織で保管されるようにすることが望ましいことは言うまでもありません.

海外,特に米国では既にいくつかのコンピュータ博物館があり,行き届いた保存と展示が行われていますが,我が国ではまだ専門のコンピュータ博物館はなく,国立科学博物館の一部でその役割を担っているに過ぎません.それでも2001年になってから,国立科学博物館による特別企画展「情報世紀の主役たち」が開催され,また本学会でも創立40周年を記念して「情報技術のエポック展」を行いましたが,常時展示されているものは殆どありません.

しかし学会では,継続的に歴史的な実物や資料を保管することは困難ですから,歴史特別委員会では,これらの収集は国立科学博物館に対する協力として行うのにとどめ,貴重な歴史的な情報を学会に適した方法で保管するために,学会のウェブページにバーチャルな「コンピュータ博物館」を設置致しました.この博物館では,我が国の情報処理技術や産業のパイオニアの紹介を掲げるとともに,情報処理年表に関連付けて,歴史的なコンピュータ,部品などの写真と解説を掲載することに致しました.これらの写真を提供され,また解説の労をとられた方々に厚くお礼申し上げる次第です.

平成15年5月13日
情報処理学会歴史特別委員会初代委員長 高橋 茂