【富士通】 富士通のオンラインデータベース

 富士通のオンラインデータベースの歴史は,コンピュータのオンライン利用の黎明期である1960年代に遡る.個別に発展してきたオンライン処理技術とデータベース管理技術は,INIS(Integrated Information System)およびRICS(Real time Information Control System)というオンラインデータベースへの統合段階を経て,FACOM MシリーズのAIM(Advanced Information Manager)に集大成された.

1.オンライン処理技術の発展

第1期(1966年〜1971年):メモリ量などの制約もあり,処理形態別(メッセージ交換,リアルタイムなど)の単能パッケージとして提供された.代表製品に,FACOM 230-20,FACOM 230-30,50のオンラインパッケージプログラムがある.
第2期(1970年〜1974年):オンライン利用の普及に伴い,処理形態を選ばない汎用パッケージの形に進化した.軽量のSOM(Standard Online Module)および大規模向けのCOP(online COmmon Package)がある.この時期に多くの重要な機能(図-1参照)が揃った.代表製品に,FACOM 230-35 BOSII SOM,ROS COP-F,FACOM 230-60 MONITOR V COP-Fがある.

図-1 ROS COP-Fの機能構成

図-1 ROS COP-Fの機能構成

2.データデース管理技術の発展

第1期(1968年〜1971年):ランダムアクセス装置対応や部品展開など特定業務向けの技術提供が中心であった.代表製品に,FACOM 230-25,35 BOS EPOCS(Engineering and Production Oriented Control System),FACOM 230-60 MONITOR V RAPID(Retrieval And Production for Integrated Data)がある.
第2期(1970年〜1974年):第1期の経験とデータベース概念の本格導入により,富士通のデータベースの基礎となる技術が開発された.DBD/SUBDBDといったデータ独立の概念,CODASYSL型の階層/ネットワーク構造やDMLなどである(図-2参照).代表製品に,FACOM 230-45S,55 OSII RAPID,FACOM 230-60 MONITOR V FMS(File Management System)がある.

図-2 RAPID,FMSの機能概要

図-2 RAPID,FMSの機能概要

3.オンラインデータベース

第3期(1973年〜1978年):コンピュータ利用の高度化と第2期での技術蓄積を踏まえ,オンライン処理とデータベース管理を拡張統合したオンラインデータベース製品が登場した.代表製品にはFACOM 230-38,48,58 OSII/VSのINISとRICSがある.簡易型のINISはSOMとRAPIDをベースにし,本格志向のRICSはCOPとRAPIDをベースにしている.また,大規模向けのFACOM 230-75 MONITOR VII COP-FもFMSとの統合性を高め,オンラインデータべースへと発展していった.オンラインデータベースはDB/DC(Database/Data Communication)とも呼ばれた.
第4期(1977年〜):FACOM Mシリーズ AIMは,富士通の技術の集大成として開発されたオンラインデータベースであり,1977年に初版が出荷された.OSIV系の全OSにて動作する.オンライン処理,データベース管理の機能強化に加え,自動リカバリ機能など,トランザクション概念による高度な統合に特徴がある.1980年代後半の第3次バンキングシステム対応を機に大規模対応力と耐故障性を大幅に高めたAIM V12,AIM V20へと強化されていった.AIM/ACS(Application Control Support system),AIM/RDB,AIM/SRCF (Shared Resource Control Facility)などのファミリー製品を有す.

 
FACOM OSIV/F4 MSP AIM 概説書 V12L10系用 (表紙) FACOM OSIV/F4 MSP AIM 概説書 V12L10系用 (内容一部)