MONITOR VII は,富士通の大型汎用コンピュータFACOM 230-75用のオペレーティングシステム(以下OS)で,MONITOR VI は超大型汎用コンピュータFACOM 230-60用OSである.これら2つのOSは同時期に開発され,いずれもMONITOR Vとの互換性を維持しながら処理能力と信頼性を大幅に強化したOSである.
以下に,大型汎用OS MONITOR VII,VIの開発の背景とMONITOR VII,VIの特長について述べる.
1.MONITOR VIIおよびMONITOR VI開発の背景
超大型汎用コンピュータFACOM 230-75の開発の開始に伴い,OS開発が企画された.このOSは,MONITOR Vとの上向き互換,処理能力の大幅な向上,利用形態の拡大,オンライン処理機能の充実,高信頼性システムの実現という市場要求に応える必要があった.
一方,コンピュータの適用分野の拡大や利用形態の複雑化はOSの規模を大きくし複雑なものにしたため,システムのバグはなかなか克服しきれず,機能拡張を阻む要因をなす結果となっていた.
そこで,前述の要件を満たす方法を検討した結果,機能ごとに独立したサブモニタという新しい概念を導入し,制御プログラム部分はすべて新たに設計し直すことにした.
この新しいOSはFACOM 230-75用として企画されたが,すでに稼働しているFACOM 230-60でも新機能の提供は必須であった.そのため,FACOM 230-75用OSとしてMONITOR VII,FACOM 230-60用OSとしてMONITOR VIが提供された.MONITOR VIIとMONITOR VI はFACOM 230-75のハードウェアに依存する機能以外は共通であり,1974年3月にバッチ機能,1975年4月にTSS機能が完成した.また,1777年8月にはMONITOR VII にFACOM 230-75 APUのアレイプロセッサ制御機能が追加された.
超大型汎用コンピュータFACOM 230-75の開発の開始に伴い,OS開発が企画された.このOSは,MONITOR Vとの上向き互換,処理能力の大幅な向上,利用形態の拡大,オンライン処理機能の充実,高信頼性システムの実現という市場要求に応える必要があった.
一方,コンピュータの適用分野の拡大や利用形態の複雑化はOSの規模を大きくし複雑なものにしたため,システムのバグはなかなか克服しきれず,機能拡張を阻む要因をなす結果となっていた.
そこで,前述の要件を満たす方法を検討した結果,機能ごとに独立したサブモニタという新しい概念を導入し,制御プログラム部分はすべて新たに設計し直すことにした.
この新しいOSはFACOM 230-75用として企画されたが,すでに稼働しているFACOM 230-60でも新機能の提供は必須であった.そのため,FACOM 230-75用OSとしてMONITOR VII,FACOM 230-60用OSとしてMONITOR VIが提供された.MONITOR VIIとMONITOR VI はFACOM 230-75のハードウェアに依存する機能以外は共通であり,1974年3月にバッチ機能,1975年4月にTSS機能が完成した.また,1777年8月にはMONITOR VII にFACOM 230-75 APUのアレイプロセッサ制御機能が追加された.
2.MONITOR VIIおよびMONITOR VIの特長
以下に,MONITOR VIIの特長を述べる.MONITOR VIの特長もFACOM 230-75特有の事項を除き,同じである.
以下に,MONITOR VIIの特長を述べる.MONITOR VIの特長もFACOM 230-75特有の事項を除き,同じである.
(1) MONITOR Vとの互換性
FACOM 230-75ハードウェアは前機種のFACOM 230-60と上向きの互換性を有し,FACOM 230-60で開発されたすべてのプログラムを動かすことができた.
MONITOR VIIでは,制御プログラムと処理プログラムとのインタフェースを規定するシステムマクロ命令はMONITOR Vのそれと同一にし,さらに新しいものを追加し,MONITOR Vとの上方互換を実現した.
FACOM 230-75ハードウェアは前機種のFACOM 230-60と上向きの互換性を有し,FACOM 230-60で開発されたすべてのプログラムを動かすことができた.
MONITOR VIIでは,制御プログラムと処理プログラムとのインタフェースを規定するシステムマクロ命令はMONITOR Vのそれと同一にし,さらに新しいものを追加し,MONITOR Vとの上方互換を実現した.
(2) 処理能力の向上
FACOM 230-75は,前身のFACOM 230-60と比較してCPU速度は5〜7倍高速であるが,このCPU速度の向上以外にも,1)主記憶容量を256K語から1,024K語への拡大, 2)ブロックマルチプレクサチャネル(BMC)と磁気ディスクパックFACOM 477Kによる入出力処理の高速化,3)演算レジスタを3組増やし4組に拡大, 4)事務計算用の命令の追加, 5)使用頻度の高い制御プログラムの命令列をマクロ化してハードウェア化,といった増強により,MONITOR VIIの処理能力を大幅に向上させた.
FACOM 230-75は,前身のFACOM 230-60と比較してCPU速度は5〜7倍高速であるが,このCPU速度の向上以外にも,1)主記憶容量を256K語から1,024K語への拡大, 2)ブロックマルチプレクサチャネル(BMC)と磁気ディスクパックFACOM 477Kによる入出力処理の高速化,3)演算レジスタを3組増やし4組に拡大, 4)事務計算用の命令の追加, 5)使用頻度の高い制御プログラムの命令列をマクロ化してハードウェア化,といった増強により,MONITOR VIIの処理能力を大幅に向上させた.
(3) オンライン処理の充実
MONITOR VIIでは,端末に対する通信制御機能としてETAM (Extended Telecommunication Access Method)を提供し,端末の統一管理,COBOLによるオンライン処理プログラムの作成を可能とした.また,大規模オンラインシステム向けに,オンラインシステムデザインの標準化,業務プログラムの独立性,通信回線処理の標準化を図ったCOP (Common Online Package)を提供した.従来オンライン業務プログラムはアセンブラ言語で開発されていたが,オンライン高級言語COPTRAN (COP Translator)の提供によりプログラム開発が容易となった.
MONITOR VIIでは,端末に対する通信制御機能としてETAM (Extended Telecommunication Access Method)を提供し,端末の統一管理,COBOLによるオンライン処理プログラムの作成を可能とした.また,大規模オンラインシステム向けに,オンラインシステムデザインの標準化,業務プログラムの独立性,通信回線処理の標準化を図ったCOP (Common Online Package)を提供した.従来オンライン業務プログラムはアセンブラ言語で開発されていたが,オンライン高級言語COPTRAN (COP Translator)の提供によりプログラム開発が容易となった.
(4) 多様な処理形態
MONITOR VII は,あらゆる分野に適用できるように設計された.
MONITOR VII は,あらゆる分野に適用できるように設計された.
1)バッチ処理 (入力手段の多様化,ジョブクラス機能などによる効率化,省力化機能)
2)リモートバッチ処理 (高速回線の利用,システム全体で統一したユーザ管理による機密保護など)
3)会話型処理 (新しいタイムシェアリングシステムCPS (Conversational Programming System)の提供,会話型リモートバッチ処理)
4)オンライン処理
5)ネットワークシステム (CCA:Channel to Channel Adaper)により結合された複数コンピュータシステムの提供)
(5) 省力化
超大型機の操作においては,高度な判断を必要とする部分と,入出力に関する比較的簡単な操作が混在している.特に後者の操作は,計算機の処理能力の向上により,多くの人手を必要とした.MONITOR VIIでは,省力化を図る機能が提供された.
MONITOR VIIでは,バッチステーション方式とデマンドプリント方式を提供し,ジョブの入出力をセンタのオペレータではなく,利用者が直接分担するセルフサービス方式とした.
また,センタオペレータの作業の中で磁気テープの装着がかなりの部分を占めていたが,オートローディング機構を持った磁気テープ装置(FACOM 610A,611A)とAVR (Automatic Volume Recognition)機能により自動的にボリューム通番が読み込まれ使用可能状態となった.
超大型機の操作においては,高度な判断を必要とする部分と,入出力に関する比較的簡単な操作が混在している.特に後者の操作は,計算機の処理能力の向上により,多くの人手を必要とした.MONITOR VIIでは,省力化を図る機能が提供された.
MONITOR VIIでは,バッチステーション方式とデマンドプリント方式を提供し,ジョブの入出力をセンタのオペレータではなく,利用者が直接分担するセルフサービス方式とした.
また,センタオペレータの作業の中で磁気テープの装着がかなりの部分を占めていたが,オートローディング機構を持った磁気テープ装置(FACOM 610A,611A)とAVR (Automatic Volume Recognition)機能により自動的にボリューム通番が読み込まれ使用可能状態となった.
(6) 高信頼性システム
MONITOR VIIシステムでは,FRS (Failure Recognition and Support)という考えでFACOM 230-75のハードウェアが有するRAS機能とソフトウェアによるサポートを有機的に結合させて高信頼システムを実現した.
代表的な機能としては,1) 障害の早期発見のための定期的な診断(PADIA;Patrol Diagnosis Program), 2)CPUや主記憶装置などハードウェアによる自動回復および入出力系装置に対するソフトウェアによる回復機能および切り離し機能, 3)システムを止めないで実行可能な診断機能(OLTE; Online Test Program),4)本体系装置および入出力装置をシステムから切り離したり,組み入れることを可能とする構成制御機能, 5)障害情報(エラーロギング)の収集と解析, 6)システムファイルの二重化機能,などがあった.
MONITOR VIIシステムでは,FRS (Failure Recognition and Support)という考えでFACOM 230-75のハードウェアが有するRAS機能とソフトウェアによるサポートを有機的に結合させて高信頼システムを実現した.
代表的な機能としては,1) 障害の早期発見のための定期的な診断(PADIA;Patrol Diagnosis Program), 2)CPUや主記憶装置などハードウェアによる自動回復および入出力系装置に対するソフトウェアによる回復機能および切り離し機能, 3)システムを止めないで実行可能な診断機能(OLTE; Online Test Program),4)本体系装置および入出力装置をシステムから切り離したり,組み入れることを可能とする構成制御機能, 5)障害情報(エラーロギング)の収集と解析, 6)システムファイルの二重化機能,などがあった.
(7) 複数のコンピュータシステム
FACOM 230-75は超大型コンピュータであるが,1台のコンピュータではすべての処理要求を満たせないほど,システムの利用範囲が拡大していた.MONITOR VIIでは,複数のコンピュータシステム間を高速伝送装置で結合するコンピュータネットワーク機能やシステム間でファイルを共有する機能の提供により,複数のコンピュータシステム間での情報伝送や情報共有を可能とした.
FACOM 230-75は超大型コンピュータであるが,1台のコンピュータではすべての処理要求を満たせないほど,システムの利用範囲が拡大していた.MONITOR VIIでは,複数のコンピュータシステム間を高速伝送装置で結合するコンピュータネットワーク機能やシステム間でファイルを共有する機能の提供により,複数のコンピュータシステム間での情報伝送や情報共有を可能とした.