IBMの仮想記憶機構(1972年8月発表)への対抗として,1973年8月に発表された,富士通の仮想記憶方式を採用したシリーズである.FACOM 230-8シリーズは,中型から大型に至るFACOM 230-28S,28,38,48,58の5機種からなり,効率のよい仮想記憶方式の採用,1KビットMOS ICメモリの採用,新開発大容量ファイル用磁気ディスクパック装置(パック1台当り100Mバイトの容量)の接続などにより,機能の拡充および処理速度の向上を図った.仮想記憶方式は1968年発表のFACOM 230-25,35ではソフトウェアによる仮想記憶方式(ソフトページング方式),1969年発表のFACOM 230-45S,55ではハードウェアによる仮想記憶方式(ページアドレス方式)を実用化しており仮想記憶方式の基盤は確立していたため,1972年8月のIBMの仮想記憶機構(370/158,168)発表後,わずか1年後の対抗機種の発表であった.
機種名 | 230-28S | 230-28 | 230-38 | 230-48 | 230-58 | |
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規模 | 中型 | 中型 | 中型 | 大型 | 大型(2CPUマルチプロセッサ可能) | |
記憶装置 | サイクルタイム | 1.5μs/2B | 1.4μs/2B | 960ns/4B | 700ns/4B | 600ns/4B |
記憶素子 | (磁気コア) | MOS IC メモリ (1Kビット/チップ) | ||||
容量 | 16〜64KB | 32〜128KB | 96〜512KB | 128KB〜1MB | 128KB〜2MB | |
チェック機能 | パリティチェック | ECC (1ビットエラー自動訂正,2ビットエラー自動検出) | ||||
演算速度 |
2進加減算 (16ビット) |
3.0μs | 2.8μs | 2.4μs | 1.4μs |
0.3μs (32ビット) |
2進乗算 (16ビット) |
17.2μs | 16.1μs | 9.1μs | 6.3μs | 3.9μs | |
最大搭載チャネル数 | 6 | 6 | 10 | 10 | 32 |