【富士通】 OSIV/XSP

OSIV/XSPは,富士通の中型汎用OSであるOSIV/ESPIIIと大型汎用OSであるOSIV/X8 FSPの2つのオペレーティングシステム(以下OS)の後継のOSであり,1990年11月に発表された.
1977年の中型FACOM M-100シリーズの発表によって中型機から超大型機までのラインアップが完成して以来,Mシリーズ用OSは中型,大型および超大型の3種類のOSが提供されてきたが,OSIV/XSPの発表により,1990年代のMシリーズのOSは超大型のOSIV/MSPと大型のOSIV/XSPの2種類となった.
以下にOSIV/XSPの開発の背景と特長について述べる.


1.OSIV/XSP開発の背景
1984年6月の汎用中型OSであるOSIV/ESPIIIの発表によりMシリーズ用汎用OSは,OSIV/F4 MSPOSIV/X8 FSPとOSIV/ESPIIIの3種類となった.OSIV/ESPIIIは,OSIV/X8をベースとしたことによりMシリーズのソフトウェアを3つのOSに共通に提供できる範囲が拡大した.また,OS機能の共通開発が促進されたことにより,OSIV/ESPIIIとOSIV/X8 FSPの機能・性能の面の差異は少なくなってきた.
一方,1990年代を見据えた場合,オープンなネットワークやネットワークに接続されたサーバ間の連携が重視されるようになり,上位OSとネットワーク制御が異なるOSIV/ESPIIIのネットワークへの広がりの対応の困難さが予想された.
そこで,OSIV/ESPIIIとOSIV/X8 FSPの後継OSを1つのOSに統合することにし,OSIV/X8 FSPをベースとしたOSIV/XSPが開発された.
2. OSIV/XSPの特長
OSIV/XSPは,以下の2つの役割を持たすことを狙って開発された.
1) パーソナルコンピュータ(PC)/ワークステーション(WS)の拡がりを支え,個人や部門の情報活用を助ける「最前線業務支援」
2) 企業活動の基盤となる業務システムの強化と拡大を推進していく「基幹業務支援」

以下に,OSIV/XSPの特長について述べる.

(1) エンドユーザコンピューティング支援
OSIV/XSPでは,エンドユーザ業務の拡大と自由な情報活用を支援するために,エンドユーザ自身による業務構築,およびエンドユーザの資産の継承と発展を可能とする以下の機能を提供した.
- PC/WSと基幹DBの連携機能 (AP/JOIN,SPOOL/JOIN)
- マネジリアル業務支援(データ抽出,運用支援の各機能) (DB-EXPRESS,DB-AGENCY)
- 意思決定支援機能 (STRACT,μSTRACT)
(2) 高性能リレーショナルデータベースRDBIIのサポート
OSIV/X8 FSPでは,リレーショナルデータベースとしてAIM/RDBを提供し,OSIV/ESPIIIではリレーショナル型データベースDB/E IIIをOSの基幹データベースとしてOSIVで初めて実用化した.
OSIV/XSPでは,新たに飛躍的な性能向上と国際標準の取り込みを行い,OSIV/MSPで先行して提供していたRDBIIを提供した.
RDBIIでは,リレーショナルデータベースの標準化への対応として国際標準(ISO SQL9075)に準拠したデータベース言語SQLを採用した.また,専用アクセス法の採用によるデータベースアクセス時間の短縮化や,SQLに対する高度な最適化処理を導入して高いトランザクション処理性能を実現した.
また,OSIV/XSPで提供したRDBIIは,国際標準に準拠しつつ,OSIV/ESPIIIのDB/E IIIで提供していたCOBOLアプリケーションとのREAD/WRIREインタフェースを装備し,OSIV/ESPIIIからOSIV/XSPへの移行を容易にした.
(3) 高度なオンラインデータベース AIM V20
オンラインデータベース AIM V20では,開発・運用性の向上,分散処理への対応,標準化(Mシリーズ,オフィスコンピュータKシリーズおよびパソコンFMの各シリーズでDB/DCプログラム資産の流通性を拡大),および高性能化(最新のハードウェアと連携してトランザクション性能を向上)の4つを狙いとした.
(4) 拡張性のあるネットワークをサポート
ネットワークのオープン化や新技術に対応した機能を提供した.
- VTAM-G/NCP-G/AIMの基本機能として国際標準OSIをサポートし,MHS (Message Handling Systems)やFTAM (File Transfer, Access and Management)を実現した
- 業界標準TCP/IPのサポートとしてUNIXの標準コマンド,X-WINDOW,NFSサーバをサポート
- 業界標準SNAシステムとの接続機能FLCF(FNA Loose Coupling Facility)およびFLCF/SC(FLCF/Stream Converter)により日本語端末の相互利用を可能とした
- 情報を高速かつ大量に,かつ低コストで伝送するために,ISDN(INSネット64および1500)や高速LAN(100MbpsのFDDI)などの新しい通信網・伝送路をサポート
(5) システム運用環境の改善
少ない要員でシステム運用をできるように操作性の改善,自動化/省力化の推進,および総合的な資源管理を目的とした各種機能を提供した.
- アイコンを使用したシステム運用操作機能やメニューベースの業務構築支援
- システムの起動から停止を自動化(AOF:Advanced Operation Facility),バッチジョブの起動・停止・監視を自動化
- ストレージ管理の自動化・省力化機能
- ネットワークの一元管理機能(COMS-I:COMS(*) of Information processing subsystem)やサブホストやクラスタの状態監視と運用操作を可能とするHSO(Hierarchical System Operation facility)
* COMS:Corporate Network Management System
- 複数システムの動作を可能とする複数OS動作機能(EMOS:Extended Maintenance Operating System)

(6) 信頼性の高いシステム構築
万が一の故障でシステムが停止しないように,高い信頼性を持ったシステム構築を可能とする機能を提供した.
- ハードウェア・ソフトウェアを二重化して,異常が発生した場合に,故障システムを引き継ぎ,早期復旧を可能とする二重化システム(ADCF:Automatic Duplex Control Facility)
- 磁気ディスク装置などの直接アクセス装置を二重化して,装置異常が発生した時ににもデータの欠損を防ぎ,業務の続行を可能とする二重化ボリューム機能(DVCF:Dual Volume Control Facility)
(7) システム構築の生産性向上
情報システムの高度化・複雑化にともない,短期開発の実現とメンテナンス性を考慮した,品質の高いシステム構築が求められていた.OSIV/XSPでは,情報システム構築のスピードアップを実現するSDAS (System Development Architecture and Support Facilities)総合開発システムを提供した.このSDASでは,下記に示す3つの考え方と,計画段階から保守までのライフサイクル全体にわたる「具体的な道具」を提供した.
- 計画段階を重視したシステムの構築
- ソフトウェアをできるだけ作らずにシステムを構築
- 的確なプロジェクト管理

 
FACOM OSIV/XSP AIF 使用手引書 V11L20用 (表紙)FACOM OSIV/XSP AIF 使用手引書 V11L20用 (内容一部)