三菱電機オペレーティング・システムの歴史

米国TRW社のコンピュータTRW 530を導入し,1963年に国産化したMELCOM-1530では,プログラムの作成やテスト,実行を効率よく行なうために,FORTANやCOBOLのコンパイラ,アセンブラ,ローダ,テスト支援プログラム,SORT/MERGEや媒体変換プログラムなどがシステム・プログラムとして提供された.さらに,FORTRANプログラムのコンパイルから実行までの連続処理を可能とするFORTRANモニタや,事務データ処理の各種プログラムを1本の磁気テープにまとめ,指示されたプログラムを順次処理する機能も提供された.

1966年に発表されたMELCOM-3100では,MELCOM-1530の後継機として,そのシステム・プログラムが提供していた機能を体系的に整理し充実させたオペレーティングシステムが提供された.このオペレーティングシステム(10T,10PT,30Tの各オペレーティングシステム)では,紙カードや紙テープからジョブを入力し,磁気テープを外部記憶装置としてコンパイルし実行する形態であった.1968年に発表された新モデルで,上記オペレーティングシステムの後継となるMARK-I,MARK-IIに加え,磁気ディスクを外部記憶装置としたオペレーティングシステムMARK-IIIが登場した.

その後,TRW社のコンピュータ事業からの撤退に伴い,新たに技術提携した米国SDS社(後のXDS社)から導入したコンピュータSIGMA シリーズを国産化したMELCOM-7000シリーズが1970年に発表された.そのオペレーティングシステム群(RBM,BPM,BTM,UTM)では,従来のバッチ処理に加え,タイムシェアリング処理,リモートバッチ処理,リアルタイム処理が提供され,この4種の処理形態が同時にサポートされた.特にタイムシェアリング処理は特徴的なものであった.

1974年に発表されたCOSMOシリーズでは,MELCOM-7000シリーズを踏襲し,さらに,オンライントランザクション処理を加えて5次元多重サポートを打ち出したUTS/VSに一新しされた.UTS/VSでは,多重仮想記憶方式や密結合マルチプロセッサがサポートされた.

1985年に発表されたMELCOM EXシリーズに於いては,高度情報化社会に対応したシステムの中核コンピュータとして,最大ユーザ数や最大端末数,最大接続デバイス数がUTS/VSの約10倍に拡大され,デュアルプロセッサシステムのサポートや計算機の各種資源利用の最適化を図る機能が強化されたGOS/VSが開発された.GOS/VSでは,UTS/VS時代から順次提供されてきたネットワークアーキテクチャ,オンライン機能とデータベース機能を統合した分散情報処理,日本語をベースとしたエンドユーザ支援やアプリケーション開発などの機能を拡張し強化させた.さらに1990年には,仮想記憶領域を256MBに拡張し,システム規模の拡大と性能の向上に対応したGOS/EAに進化した.