1968年に発表された三菱電機のMELCOM-3100モデル20,モデル40向けに開発されたディスク・オペレーティングシステムである.このシリーズには,他にモデル10Tオペレーティングシステム,10PTオペレーティングシステムの後継でモデル20T用のMARK-I,モデル30Tオペレーティングシステムの後継でモデル40用のMARK-IIがある.
MARK-III FOS(Fundamental Operating System)の構成は,次のようになっている.
ディスクのランダムアクセス機能を活用し,システムのより効率的な運転を可能としたMARK III FOSの特徴を以下に示す.
(1)ディスクの構造
ディスクの先頭にはIPL,ボリュームラベル,ファイルのディレクトリ(DOF:Directory of Files)がある.その後にファイル領域があり,そこには,オペレーティングシステムが入っているシステム定住ファイル,翻訳プログラムなどが使用する一時ファイルであるスクラッチファイル,およびデータ・ファイルが格納されるが,すべて,DOFにより同じ方式で管理されている.
(2)オペレーティングシステムの生成
オペレーティングシステムMARK-IIIは,磁気テープで配布されるが,システム生成時にカードから与えられたユーザのハードウェア構成やスクラッチファイルの容量,入出力装置の記号名などの情報を用いて,ユーザのシステムに合ったオペレーティングシステムとしてシステム定住ファイルに作られる.システム定住ファイルのシステム管理領域には,システム生成パラメータの情報が保持されている.
(3)プログラム・ライブラリ
プログラムもすべてファイルの概念の下に統一的に扱われ,システム・プログラム,ユーザ・プログラムとも,プログラム・ライブラリとして統一的に管理している.
ユーザ・プログラムのライブラリには,翻訳プログラムで翻訳された結果のリロケータブルプログラムのライブラリと,これを編集・結合して実行用にしたライブラリとがある.プログラムは,システムローダによって実行用ライブラリから主記憶へロードされ,実行される.
翻訳プログラムとしては,COBOL,FORTRAN,表記入形式のACE,アセンブラ言語MACRO-CORDERが用意されており,異なった言語のコーディングしたオブジェクトコードを結合編集して1つの実行単位にまとめることができる.
(4)データ・ファイル
データ・ファイルには,シーケンシャル・ファイル,ダイレクト・ファイル,インデックス付きシーケンシャル・ファイルの3種類のファイル編成がある.
ファイルの指定はプログラムから切り離し,ジョブ・コントロール・ステートメントを通して与えられる.プログラム実行に先立ち,ジョブ・コントローラがジョブ・コントロール・ステートメントを読み取り,ファイルのオープン時には,この情報を用いてディスク上のファイル・ディレクトリを検索する.
(5)その他
ディスクを中間記憶媒体とした能率のよいソート/マージ・プログラムが用意されている.