【日本電気】 日本電気の黎明期のソフトウェア

日本電気の黎明期のハードウェアにはパラメトロン式計算機(NEAC-1101等)とトランジスタ式計算機(NEAC-2203等)がある.これら黎明期装置のソフトウェアでは標準ルーチンが用意されており,使用者は標準ルーチンを用いてソフトウェアを作成していた.また,オンライン・リアルタイム・システムが,専用機により提供された.

(1)NEAC-2203での標準ルーチンの例
  • イニシャルプログララム
    紙テープから機械語のプログラムを入力するローダで,格納開始番地に対する相対アドレス処理機能を有す.
  • SIP(Symbolic Input Processor)
    教育用1パスアセンブラ,各社共通の教育用として森口繁一氏のご指導により共通仕様がまとめられた.
  • NEAC-2203アセンブラ
    2パスアセンブラでオブジェクトプログラムは紙テープに出力した.
  • NARCコンパイラ
    科学計算用コンパイラでオブジェクトプログラムは紙テープに出力した.
  • 科学計算サブルーチン
    初等関数,行列計算,統計計算用サブルーチン
  • 磁気テープSORTプログラム
    4本の磁気テープを使用する.
  • その他のユーテリテイルーチン
これらの経験はNEAC-2230等の後継機にて活かされ,磁気テープ上のプログラムファイルを基本としたSNACマクロアセンブラ,NARCコンパイラ等が後に開発され,磁気テープベースのオペレーティングシステム(OS)へと発展した.

(2)専用機
専用機として座席予約システムや伝票処理機械化を狙ったオンライン・リアルタイム・コンピュータが開発された.
これらは論理配線で機能動作が定まるWiredProgram方式であったため,設置後の変更,拡張が困難であった.
専用機開発の経験はプログラムを活用した汎用機によるシステムの開発やオペレーティングシステム(OS)の開発の必要性を認識させた.

  
NEAC-2203のマニュアル