【日本電気】 NEAC-2203

本格的な事務処理を目的としてNEAC-2201をベースにして金田弘宮城嘉男,北村拓郎らを中心に開発され,第1号機が1959年5月に電子工業振興協会に納入された.

NEAC-2201でなお使われていた真空管はすべてトランジスタに置き換えられ,演算方式として浮動小数点方式が加味された.記憶装置は磁心記憶がまだ高価であったため,磁心(240語),高速磁気ドラム(2k語,10,000回転/分)および磁気ドラム(10k語,1,500回転/分,10台まで)の3段の階層構成がとられた.語長10進12桁に拡張され,命令数もレジスタ数も強化された.

この開発にはEDPS(Electronic Data Processing System)を指向して周辺装置ならびにその制御方式の開発に力が注がれ,カード読取装置,カード穿孔装置,ラインプリンタ,磁気テープ装置などが開発され接続された.この計算機には割込み機能がついていて,時分割により3個のプログラムを走らせることができた.

NEAC-2203の諸元
  NEAC-2203
初出荷時期
1959年5月
演算方式 10進法,直列,1-2-4-8コード
固定小数点,浮動小数点
演算素子
  トランジスタ ダイオード
本体 1,338 17,343
入出力テープ制御部 1,241 14,921
語の構成 語長:10進12桁,指令語:2命令/語
数値語:固定小数点 符号+11桁
   浮動小数点 符号+指数部2桁+仮数部9桁
文字語:6/語 アルファニューメリック(含むカナ)
指令(命令)
88種,1・1/2アドレス方式,インデックス・レジスタ 3個
演算速度   固定小数点 浮動小数点
加減算 0.24ms 1〜3ms
乗 算 2.5ms 2.8〜5.1ms
除 算 6.01ms 5.5〜7.7ms
内部記憶装置 磁気ドラム 2,000語(3ms)+40語(0.6ms)
磁心記憶  240語
外部記憶装置 磁気ドラム 1万語 (20ms)
その他
入出力装置
磁気テープ記憶装置  テープ速度:8,000桁/秒
高速製表印字装置   印字速度:200行/分(96字の場合)
カード読取・穿孔装置,紙テープ読取・穿孔装置
割込タイプライタ席

NEAC-2203NEAC-2203側面003操作卓
  
磁気ドラム