【富士通】 FACOM 6715D 日本語ラインプリンタ装置

富士通初のレーザ書き込みによる乾式電子写真方式を採用した日本語ラインプリンタ装置.今までのラインプリンタは活字を使ったインパクト方式が採用され,印字可能な文字は英数字とカタカナに限定されていた.また,漢字を含む印刷には,高価な漢字専用システムが必要であった.同社では,日本語を標準的に取り扱えるようにしたアーキテクチャ「富士通日本語情報システム (JEF:Japanese processing Extended Feature)」(1979年発表)を採用したノンインパクト方式の日本語ラインプリンタの第1号機FACOM 6715Dが,1980年3月に完成した.本装置は,以下の特長を有した.

1) 簡単な構造で印字精度の良いレーザ光学系と,乾式電子写真記録技術との組み合わせにより高品質の印字を可能とした
2) レーザープリンタの印刷速度は毎分数千行の速度も実現可能であったが,本装置では,印刷速度を速くするよりも使い易さやコンパクトさを追求と,JEF の早期普及を目指し,最もコストパフォーマンスの良い毎分2,000行とした(価格は,従来の英数字・カナ用の装置の価格を若干上回る程度で実現)
3) 帳票フォーマットを印字データと重ね印刷するオプション機能「フォームオーバレイ」と各種サポートユーティリティの提供により,共通用紙で自由な帳票を作成可能とした
4) フラッシュ定着方式の採用
従来の熱ローラ定着方式(加熱したローラによって用紙上に転写されたトナー像を融着する方式)に代わり,富士通が新たに開発した「フラッシュ定着方式」を採用した.この方式では,紙に直接接触しないため,タック紙なども含めて多種多様な印刷用紙が使用できる.
5) 従来の英数字・カナ仕様を拡張したJEFの採用により従来装置と互換性と拡張性を有する
6) JIS第1水準,JIS非漢字および英数字・カナ記号を基本文字種とし,それ以外の字種については,フロッピィディスク(オプション)やソフトウェアにより文字発生機構部にローディングする方式を採用することにより,柔軟な文字セットを使用可能とした

本装置に続いて,下位機のFACOM 6716D(1981年,1,000行/分),上位機のFACOM 6700D(1982年,10,600行/分),FUJITSU 6712E(1990年,5,000行/分)などが逐次追加され,シリーズ化が図られた.また,アーキテクチャJEFIIの採用に合わせて,イメージデータの印刷など機能面についても強化が図られた (FACOM 6715E,1983年,2,000行/分).

日本語ラインプリンタ装置の諸元
  FACOM 6716D FACOM 6715D F6712E FACOM 6700D
完成時期 1981年7月 1980年3月 1990年12月 1983年 2月
印刷方式 レーザ書き込みによる乾式電子写真方式
印刷速度 12行/インチ - - 10,100行/分 21,200行/分
8行/インチ 1,330行/分 2,670行/分 6,700行/分 14,100行/分
6行/インチ 1,000行/分 2,000行/分 5,000行/分 10,600行/分
行間隔 1/6インチ,1/8インチ 1/6インチ,1/8インチ,
1/12インチ(英数カナ)
1行印字文字数 136字(英数字・カナ),
109字(漢字約9ポイントサイズ),68字(漢字約12ポイントサイズ)
解像度 縦横共:240ドット/インチ
文字構成 英数字・カナ:24×30ドット,漢字:30×30ドット
文字発生機構 基本 英数字・カナ109文字 英数字・カナ 255文字(20セット)
オプション JIS第1水準とJIS非漢字(3,418字)
収容可能文字種 最大8,192字 最大14,336字
ホストコンピュータからパターンローディング可
フォーマット印刷 オプション(フォームオーバーレイ機構)
作表と図形印刷 パターンの組合せで可 図形印刷機能,
イメージ印刷機能
パターンの組合せで可
主要接続機種 FACOM Mシリーズ

 
FACOM 6715D日本語ラインプリンタ装置F6712E日本語ラインプリンタ装置