富士通の日本語ラインプリンタ装置の最上位機で,1983年2月に完成した.当時,日本語情報システムの発展に伴い,高速・高機能の日本語ラインプリンタへのユーザニーズが高まっていた.同社では,それに応える装置としてレーザービーム書き込みによる乾式電子写真方式採用の超高速日本語ラインプリンタFACOM 6700Dを開発した.本装置は,以下の特長を有した.なお,主な仕様については「日本語ラインプリンタ装置の諸元」を参照.
- 1) 高印字品質・高速出力
- 解像度240ドット/インチの高印字品質文字を毎分10,600行(6行/インチ 印刷時)の高速度で印刷
- 2) 優れた操作性
- 印字速度の向上に伴って,印刷用紙の装着・継ぎ足し補充・印刷済用紙の処理に要する時間が,高速印刷出力の鍵となる.本装置では,用紙装着の容易なオートローディング機構・スプライシング機構・大容量スライド式ホッパ,用紙取り出しの容易な二方向スライド式スタッカなどの採用により迅速な用紙処理を可能とした
- 3) JEF(Japanese processing Extended Feature)採用により豊富な出力機能
- 最大14,336文字の漢字サポートと,フォームオーバーレイ,縮小印刷,コピー修飾機能などの各種印刷機能と組み合わせて多様な出力形態に対応
毎分1万行を超える超高速印刷においては,通常の用紙(2,000シート/箱)では10数分に1度の用紙装着が必要であった.また,印刷後の後処理に労力を要するため自動化も課題であった.そこで,前処理・後処理を自動化する装置が開発された.その一つとして,FACOM6700D4高速日本語ラインプリンタ,FACOM 6898A用紙供給装置およびFACOM 6898B用紙後処理装置で構成される超高速大量連続印刷サブシステムがある.このシステムは,顧客の協力を得て開発したもので,長尺用紙(35,000シート)の採用により,帳票の印刷,帳合,裁断,仕分けの一連の作業を,3.7時間連続して行うことがで,1985年に稼働した.
また,1990年9月には,マルチメディア印刷機能(図形印刷とイメージ印刷)とバーコード印刷機能を実現したF6700Eが完成した.図形やイメージデータの高速処理は,制御部の処理速度の限界から,従来は毎分2,000行以下の機種でしか実現できていなかったが,F6700Eでは,RISC型マイクロプロセッサの採用により,処理速度の向上を図り,高速機種としては初めて図形・イメージの印刷を可能にした.
FACOM 6700D | F6700E | ||
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完成時期 | 1983年 2月 | 1990年9月 | |
印刷方式 | レーザ書込みによる乾式電子写真方式 | ||
印刷速度 | 12行/インチ | 21,200行/分 | |
8行/インチ | 14,100行/分 | ||
6行/インチ | 10,600行/分 | ||
行間隔 | 1/6インチ,1/8インチ,1/12インチ(英数カナ) | ||
1行印字文字数 |
136字(英数字・カナ),109字(漢字約9ポイントサイズ), 68字(漢字約12ポイントサイズ) |
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解像度 | 縦横共:240ドット/インチ | ||
文字構成 | 英数字・カナ:24×30ドット,漢字:30×30ドット | ||
文字発生機構 | 基本 | 英数字・カナ 255文字 | |
JIS第1水準と JIS非漢字 (3,418字) |
オプション | 基本 | |
収容可能文字種 | 最大14,336字 | 最大18,432字 | |
ホストコンピュータからパターンローディング可 | |||
フォーマット印刷 (フォームオーバーレイ機構) |
オプション |
基本メモリ容量:1MB 最大メモリ容量:10MB(オプション) |
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イメージ印刷 | 不可 |
非圧縮方式,MH圧縮方式, MR圧縮方式,MMR圧縮方式をサポート |
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接続機種 | FACOM Mシリーズ |