FACOM 477Aは,コマンド再試行機能とECC機能を富士通として初めて備えた集合型ディスクパック装置で,1972年に完成した.
FACOM 477Aディスクパック装置は,従来のFACOM 472Lに対し,記憶容量の拡大,アクセスタイムの短縮,データ転送速度の高速化など大幅に性能が強化された.さらに,FACOM 477Aを制御するFACOM 1771AおよびFACOM 1771Bディスクパック制御装置により,以下のような新機能が開発された.
- 1) 回転位置検出機構を使用した多重リクエスト機能
- 2) コマンド再試行機能
- 3) ECC機能
- 4) 保守診断機能
FACOM 1771A/B-FACOM 477Aサブシステムは,ホストシステムのブロックマルチプレクサチャネル(BMC)に接続された.これらの機能は,その後のディスクサブシステムの高性能・高信頼を実現する技術の基礎となった.
1975年には,これらの技術を基に,性能および信頼度を維持し,一段とコストパフォーマンスを向上させたFACOM 478A2ディスクパックサブシステムが開発された.FACOM 478A2では,2台のドライブを筐体内で水平に配列する構造を採用したことにより,FACOM 477Aのような垂直2連式構造で必要とされた自動引き出し機構が不要となり,経済性と信頼性の両立と小型化・軽量化を実現した.また,従来のFACOM 477Aでは集合型を採ったが,FACOM 478A2以降は個別筐体型を採用し,増設の容易性も追求した.
1976年には,トラック密度を従来の192TPIから370TPIに向上させパックの記憶容量を200メガバイトに拡大したFACOM 479B2を完成した.
ディスク媒体の実装方式には,FACOM 477/478/479で採用した可換型ディスクパック方式と媒体とヘッドをオールインワンに組み込んだ方式があったが,以後,大型汎用コンピュータ用の磁気ディスクは固定ヘッド型のみになり,FACOM 479B2はディスクパック装置の最後の装置となった.
(参考) FACOM 472L |
FACOM 477A |
FACOM 478A2 |
FACOM 479B2 |
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完成時期 | 1971年 | 1973年12月 | 1974年10月 | 1975年8月 | |
装置タイプ | 集合型 | 個別型 | |||
記憶容量 | トラック容量 | 7,294 byte | 13,030 byte | ||
パック容量 | 58 MB | 100 MB | 200 MB | ||
装置 | 116 MB | 200 MB | 400 MB | ||
サブシステム |
466 MB (8スピンドル) |
800 MB(8スピンドル)/ 1600 MB(16スピンドル) |
12.8 GB (64スピンドル) |
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ディスク パック |
トラック数/シリンダ | 40 | 19 | ||
シリンダ数/パック | 200+3(予備) | 404+7(予備) | 808+7(予備) | ||
トラック数/ディスク面 | 406 | 411 | 815 | ||
ディスク枚数 | 13枚 | 12枚 | |||
有効面数 | 20面+1面(サーボ) | 19面+1面(サーボ) | |||
直径 | 17 inch(430mm) | 14 inch(356mm) | |||
ポジショニング時間 |
平均50 ms (最小15 ms, 最大80 ms) |
平均25 ms (最小6 ms,最大45 ms) |
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回転数 | 2,400 rpm | 3,600 rpm | |||
平均回転待ち時間 | 12.5 ms | 8.4 ms | |||
データ転送速度 | 312 KB/s | 806 KB/s | |||
記録密度 | 線密度 | 2,200 BPI | 4,040 BPI | ||
トラック密度 | 127 TPI | 192 TPI | 370 TPI | ||
主要接続システム | *1 |
*1:・固定長タイプ:FACOM 230-35
・可変長タイプ:FACOM 230-45S/55,FACOM 230-60,FACOM 230-75