全面的にICを採用した富士通の大型汎用コンピュータで1968年3月に完成した.前機種のFACOM230-50に比し4〜10倍の性能を有するばかりでなく,オンラインデータ処理機能が一段と強化された.また,価格性能比を優れたものにするため,世界に先駆けマルチプロセッサ(2CPU)方式の採用や,モノリシックICの全面採用など画期的な新技術が導入された.特に,マルチプロッセサ方式は,主記憶装置および入出力装置を共有する複数台のCPU(FACOM230-60の場合は2台)で構成されるシステムで,従来の複合コンピュータシステムとは根本的に異なる,大型機の新時代を拓くものであった.
最大262,144語(1語は,データ 36ビット,フラグ 4ビット,パリティ 2ビット 合計42ビット),20mil/サイクルタイム0.92μsの高速な磁心記憶装置とサイクルタイム6μs,最大786,432語の大容量磁心記憶装置を採用し,演算速度として固定小数点加減算/乗算1.26μs /4.06μs,浮動小数点加減算/乗算 2.27μs /3.68μsの性能を有した.
その他の特長として,処理装置自身を診断するハードウェアDIACの内蔵,各装置のシステムへの結合,システムからの切り離しを行う切り換え操作卓の導入などがある.FACOM 230-60は発表と同時に各方面より高い評価を得て,同社コンピュータの大型機としての地位を築き,130台以上が出荷された.