【電子計算機技術研究組合】 FONTAC

当時,年々輸入が増大していた大型コンピュータ分野に,通産省は補助金を交付して大型コンピュータの国産化を狙った.そのために,富士通信機製造(現富士通),日本電気,沖電気の3社により日本電子計算機技術研究組合が設立された(1962年7月).FONTAC (Fujitsu-Oki-Nippondenki-Triple-Allied Computer)は,この3社の3年にわたる共同研究によって完成された大型コンピュータで,1964年11月に完成し,日本電子工業振興会に納入された.

FONTACシステムは,主コンピュータとして高速大容量の記憶装置と多数の入出力チャネルを持つ大型2進計算機FONTAC Centralを,衛星コンピュータに可変語長のFONTAC Sub Iと固定語長のFONTAC Sub IIを使用し,主コンピュータと衛星コンピュータは密接に結合された.FONTAC Centralは,1語42ビットからなる2進法のコンピュータで,固定小数点の数値は,データ36ビット,フラグ4ビット,パリティ2ビット,浮動小数点の数値は指数部9ビット,仮数部27ビット,フラグ4ビット,パリティ2ビットより構成された.記憶装置として30mil/サイクルタイム2.2μsの磁心記憶を使用し,最大65,536語の容量を実現し,演算速度として固定小数点加減算/乗算 4.4μs /25.2μs,秒浮動小数点加減算/乗算 15.4μs /30.8μsの性能を有した.

この共同研究で開発された技術を基に,CPUを担当した富士通信機製造(現富士通)は,FONTAC Centralを一部改良し,FACOM 230-50として商用化した.


 
FONTAC CentralFACOM 230-50