FACOM 472Kは,富士通初の集合ディスクパック装置で,1970年3月に完成した.
同社では,IBM互換のディスクパック(14インチ径ディスク6枚で構成)を使用したFACOM 462Kがあったが,大容量化と高速転送を狙い,独自のディスクパック(17インチ径ディスク11枚で構成)を最大9台(通常使用ドライブ8台+予備ドライブ1台)使用した同社初の集合形のディスクパック装置を開発した.本装置には,記録形式が固定長と可変長の2種類があり,前者は中型汎用コンピュータFACOM 230-35のSFC(セクタ・ファイル・チャネル)に接続され,後者はFACOM 230-45S以上の大型汎用コンピュータのSLC(セレクタ・チャネル)にFACOM 1729ランダム・アクセス制御装置経由で接続された.本装置は,以下の特長を有した.
- 1) 直径17インチのディスク11枚で構成されたディスクパックの採用により1パック当り29メガバイトの大容量記憶を実現
- 2) サブシステムとして最大8台の常用ドライブと1台の予備ドライブを接続でき,最大233メガバイトの記憶容量を実現
- 3) 260キロバイト毎秒の高速データ転送を実現
- 4) 1つの筐体には1台または2台のドライブを収容することができ,ドライブは引き出し式に前後にスライドし,他のドライブとは独立にディスクパックの着脱交換および保守点検が可能
- 5) 機番プラグ(0から7番まで)を任意のドライブに抜差交換することにより,簡単にかつ誤りなく媒体とアクセス機番の組み合わせを構成することができる.
1972年9月には,トラック数を2倍にすることにより1パック当りの記憶容量を58メガバイトに倍加,ポジショナにリニアモータを採用することにより平均ポジショニング時間を50ミリ秒に短縮したFACOM 472L集合ディスクパック装置を完成した.
(参考) FACOM 462K/462K-1 ディスクパック装置 |
FACOM 472K 集合ディスクパック装置 |
FACOM 472L 集合ディスクパック装置 |
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完成時期 | 1969年8月 | 1970年3月 | 1972年9月 | ||
記憶容量 | トラック容量 | 固定長 | 256byte×10 | 256byte×18 | |
可変長 | 最大3,625byte | 最大7,294バイト | |||
ディスク パック |
固定長 | 5.12×106byte | 17.77×106byte | 35.55×106byte | |
可変長 | 7.25×106byte | 29.18×106byte | 58.36×106byte | ||
装置 | ドライブ数 | 1台 | 8台+予備1台 | ||
固定長 | 5.12×106byte | 142.18×106byte | 284.36×106byte | ||
可変長 | 7.25×106byte | 233.41×106byte | 466.81×106byte | ||
ディスク パック |
トラック数/面 | 203 | 203 | 406 | |
シリンダ数/パック | 203 | 203 | 203 | ||
有効ディスク枚数/面数 | 6枚/10面 | 11枚/20面 |
11枚/20面 +1面(サーボ) |
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ディスクパック直径 | 356 mm(14inch) | 430 mm(17inch) | |||
ポジショニング方式 | パルスモーター | リニアモータ | |||
ポジショニング時間 |
平均75 ms (最小25 ms, 最大135 ms) |
平均75 ms (最小30 ms, 最大135 ms) |
平均50 ms (最小15 ms, 最大80 ms) |
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回転数 | 2,400 rpm | 2,000 rpm | 2,400 rpm | ||
平均回転待ち時間 | 12.5 ms | 15 ms | 12.5 ms | ||
データ転送速度 | 156KB/s | 260KB/s | 312KB/s | ||
主要接続システム | *1 |
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*1:・FACOM 462K-1(固定長タイプ):FACOM 230-25/35
・FACOM 462K(可変長タイプ):FACOM 230-60