【日立】 VOS0, VOS1-S

VOS0,VOS1-Sは分散処理コンピュータHITAC Lシリーズ用OSで,VOS0がHITAC L-330用OS,VOS1-SがHITAC L-340用OSであった.VOS0,VOS1-Sは簡易性,コンピュータネットワーク,Mシリーズとの共存性を開発思想に持つOSであり,分散処理を実現するためのさまざまな特徴を備えていた.
図-1にHITAC Mシリーズ,HITAC Lシリーズの結合による分散処理システムの構成例を示す.


図-1「分散処理システムの構成例」

図-1「分散処理システムの構成例」


VOS0,VOS1-Sは1978年に出荷を開始した.
VOS0,VOS1-Sは以下のような特長を持っていた.

(1)専門家でなくても使える業務プログラム作成用言語NHELP
  • バッチ処理,オンライン処理とも簡単なパラメタ作成だけで業務プログラム作成可能
  • NHELPオンラインシステムにより,簡単かつ短期間にオンラインシステム建設可
  • オペレーション,ジョブ制御言語,サービスプログラム,システムゼネレーションなどを徹底して簡易化

図-2にNHELPオンラインシステムの構成を示す.


図-2「NHELPオンラインシステム」

図-2「NHELPオンラインシステム」


(2)ネットワークを結ぶファイル伝送が可能
  • ネットワーク上では,L-330/L-340はMSNA(M Series System Network Architecture)およびHNA(Hitachi Network Architecture)の端末として位置付けられ,分散処理のホストコンピュータとしても使用できた.
  • コンピュータ間でファイルを伝送できるサービスプログラムFIT(FIle Transmission program)を備えており,各地に分散したデータを効率よく簡単に伝送可能である.
  • 中央のホストコンピュータにジョブを送って実行させ,その結果を入手するリモートバッチを実行できた.

図-3にFITによるファイル伝送の状況を示す.


図3「FITによるファイル伝送」

図3「FITによるファイル伝送」


(3)VOS1への移行,8150PSからの移行が容易
  • プログラム言語,ファイル,通信回線の伝送手順,ジョブ制御言語がMシリーズのサブセットになっており,VOS1への移行が容易であった.
  • 8150PSからの移行を容易にするために,エミュレータやCOBOLコンバータなどに加え,JCLコンバータ,ファイルコンバータ,ファイルコンペアルーチンを用意した.

(4)各種プログラムが充実
  • データベースを実現するPDM
  • より高度なオンラインを実現するTMS-1
  • 業務のEDP化をサポートする豊富なアプリケーション

図-4にVOS0/VOS-1Sを構成するプログラムを示す.


図-4「VOS0/VOS-1Sを構成するプログラム」

図-4「VOS0/VOS-1Sを構成するプログラム」


 
VOS0のマニュアルの表紙VOS0のマニュアルの記述例