【三菱電機】COOL

 1968年に発表されたMELCOM81は,いわゆるオペレーティング・システム(OS)と言われるような基本ソフトウェアを搭載せず,COOL(Customer Oriented Optimum Language)と呼ばれる10進の機械語を用いたプログラミング環境(言語システム)によって利用するものであった.その後1974年のMELCOM80モデル31でOS(AOS)が搭載された後も,COOLをベースとしたオフコンの後継機が投入され,1978年発表のMELCOM80モデル18,28まで使われた.
 COOLによる言語システムについて,1969年に発表されたMELCOM83を例にとって説明する.図にMELCOM83のCOOLによるソフトウェア体系を示す.


図 MELCOM83のソフトウェア体系

図 MELCOM83のソフトウェア体系

(1)プログラミング言語
 “COOL”は機械語の名称であるが,しばしば,アーキテクチャの名称としても呼称された.COOLは,MELCOM83で34種(その後40種まで拡張)の命令からなり,10進表現の「スリーアドレス方式」を採用することで,人が理解しやすいようになっている.スリーアドレス方式の命令1語は,12桁の10進数値からなり,3桁の命令部と,3桁の番地部×3に分けられている

図.10進スリーアドレス方式

図.10進スリーアドレス方式

たとえば,今280番地に125が記憶されており,243番地に20が記憶されているとして,それらを掛けて,その積を100で割った(2桁右シフトした)結果を176番地に記憶する場合は,

となる.

(2)ユーティリティプログラム
 ユーティリティプログラムには,ローディングプログラム,入出力プログラム,番地移動プログラムなどが用意してある.
(3)サブルーチンプログラム
 非常によく用いられるプログラムは,サブルーチンとして用意してある.事務計算として,給与計算の所得税と年末調整,貨幣換算・金種計算・期日計算などがあり,平方根・立方根・三角関数・逆三角関数・指数関数・対数関数・浮動小数点演算など科学技術計算用サブルーチンもある.
(4)アプリケーションプログラム
 SAPP(Standard Application Program Package)は,業種別・業務別の標準プログラムのパッケージである.ユーザへの導入にあたっては,SAPPをもとにして,ユーザ独自の処理方式,入出力方式を容易に設計することができるようになっている.