USACシステム 11は,内田洋行のオフィスコンピュータで,超小型コンピュータUSAC 820の後継として1979年4月に発表された.本機は,オフィス内のどこにでも設置でき,事務機を扱う感覚で誰もが必要なとき手軽に操作できる本格的オフィスコンピュータとしてデザインされ,コンピュータを文字通り事務機として普及させるため,多機能ディスプレイ装置や,連帳と単票両用の自動給紙とIDマークの印字/読取機構を備えたまったく新しい概念の多目的プリンタの接続により,1980年代におけるオフィス情報システム展開の第一ステップとして発表された.本機は,以下の特長を有した.
- (1)以降の開発機種の共通エンジンとして,業界初の大規模(1万ゲート)CMOS LSIプロセッサFSSPを採用
- (2)日本語システムを標準装備
- (3)高密度メモリ素子の採用によりメモリ容量を大幅拡大
- これによりマルチワーク処理・日本語処理を実現する本格的OSが搭載可能となった
翌1980年,日本で初めて8インチマイクロディスク(新構想に基づき開発された8インチ円板使用の小形高性能ディスク装置)を内蔵した「USACシステム 7」が発表された.以降,シリーズマシンとして大容量マイクロディスクなど新技術を取り入れた「USACシステム5,9,21」へ展開した.
また,1981年にはi8086をCPUに使用した卓上型の「USACシステム 3」が発表された.
さらに,1982年にはオフィスコンピュータで初めて5インチミニフロッピーディスクを装備した「USACカマラード」が追加されて広範囲な規模のユーザ要件に対応できるシリーズを形成した.なお,USACカマラードは,ビジネスパソコンとして発表されたが,つくりはUSACシステム3をベースとしていることおよびこの後継機のニュー・カマラードはオフィスコンピュータとして扱っていることから,ここでは,オフィスコンピュータとして扱っている.
機種名 |
USACシステム 11 |
USACシステム 7 |
USACシステム 5,9,21 |
USACシステム 3 (カマラード) |
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発表時期 | 1979年4月 | 1980年5月 | 1982年5月 |
1981年10月 (1982年12月) |
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CPU |
16ビットCMOS LSIプロセッサFSSP メモリアドレス空間 最大16MB,仮想アドレス方式 マイクロプログラム制御 |
16ビットマイクロプロセッサ i8086(8MHz) |
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システム記憶機構 | 記憶素子 |
16K/64Kビット MOS-LSI |
64Kビット MOS-LSI |
256Kビット MOS-LSI |
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記憶容量 | 256〜512KB |
標準タイプ 192〜384KB 日本語タイプ 256〜384KB |
システム5: 256KB〜512KB システム9: 384KB〜1MB システム21: 84KB〜1.5MB |
256/384/512KB (カマラード:256KB) |
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エラーチェック |
ECC (1ビットエラー訂正,2ビットエラー検出) |
パリティチェック | |||
内蔵磁気ディスク |
14インチ× 1台 20.2/40.4/ 105.9MB |
8インチ×1台 10/20MB |
8インチシステム5: 20/40MB×1台 システム9: 20/40MB×最大2台 システム21: 67〜268MB×最大4台 |
ディスク付タイプ 5インチ 7.5MB×1台 (初期はディスクなし) (カマラード: ディスクなし) |
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内蔵フロッピィディスク装置 |
8インチ 243KB(1S) 1.2MB(2D) 1〜2台 |
8インチ 243KB(1S) 1.2MB(2D) 1台標準 |
8インチ(薄型)1.2MB システム5,9:1台 システム21:1〜2台 |
8インチ1.2MB 最大4台 (カマラード: 5インチ1MB ミニフロッピィ2〜3台) |
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ワークステーション接続台数(ディスプレイ+プリンタ) | 8台 | なし |
システム5:なし システム9:4台 システム21:28台 |
なし | |
装置のタイプ | 自立型 | 自立型(システム5卓上型) | 卓上型 |
(注)上記の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.