ユーザック電子工業が開発・製造した超小型コンピュータ.1975年9月に内田洋行より,USAC 720シリーズの後継機としてUSAC 820が,1975年12月に富士通より,FACOM V0シリーズ(FACOM V0/V0S)の下位機としてFACOM Bmが,発表された.両機は,伝票の発行処理(ビリング)を主たる業務とする比較的な小規模企業向けに開発された.1977年5月には,帳票発行の中心となるプリンタ装置の種類に応じて定形化した3種のタイプが追加され,FACOM Bmシリーズ,USAC 820シリーズを形成した.このシリーズは以下の特徴を有した.
- (1)標準フロッピィディスクベースのシステムを採用し,上位機種および異機種間のデータ互換を可能とした
- (2)操作が簡単で専任のオペレータレスを実現.プログラム選択キー(PSK)のワンタッチ操作によりプログラムをフロッピーディスクからローディングする方式の採用.ディスプレイ装置およびジャーナルプリンタ装置を利用したコンピュータとの会話など
- (3)記帳能力にすぐれ,帳票設計が容易
- (4)一般事務室に設置可能な構造・デザイン(本体はデスク形ロッカ,増設周辺装置はラック搭載)
- (5)空調や電源設備の特別な工事を必要としない(AC100Vで統一)
- (6)小型機FACOM Vシリーズと共通の周辺装置を接続できる
機種名 |
FACOM Bm USAC 820 |
FACOM Bm Dタイプ USAC 820V |
FACOM Bm Pタイプ USAC 820C |
FACOM Bm Wタイプ USAC 820L |
|
---|---|---|---|---|---|
発表時期 |
|
|
|||
処理装置 |
マイクロプログラム制御方式,可変語長方式,可変長命令(2,4,6バイト), 演算:2進,10進,四則,論理,判断,編集 |
||||
主記憶装置 | 記憶素子 | 4Kビット MOS-LSIメモリ | |||
容量 | 20〜32KB | 32,40,48KB | 24,32,40,48KB | 32,40,48KB | |
プリンタ装置 | 印字方式 | 7×9ドット | 7×9ドット | フォント | 9×9ドット |
印字速度 | 120字/秒 | 120字/秒 | 平均54.5字/秒 | 120字/秒 | |
1行印字数 |
136字/行 (パイカ) |
136字/行 (パイカ) |
136字/行 | 256ポジション/行 | |
内蔵フロッピィディスク装置 |
記憶容量 243KB/台(8インチ,片面) 2台 |
記憶容量 243KB/台(8インチ,片面) 2〜4台 |
|||
接続I/O台数 | 6台(内 通信回線1回線) | ||||
その他 |
FACOM Bm,USAC 820シリーズ最初のモデルビリングが主用途 標準フロッピィディスクからのワンタッチプログラム選択方式の採用 |
640文字ディスプレイ装置とドットプリンタを実装した標準モデル | 数字15字表示装置とフォント形プリンタを実装した普及モデル | 640文字ディスプレイ装置と幅の広いプラテンと2つの紙送り機構を備えたドットプリッタを実装した高級モデル |
(注)上記の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.