FACOM Kシリーズは,富士通のオフィスコンピュータで,同社のオフィスコンピュータFACOM システム80と小型コンピュータFACOM Vシリーズ(V-830 STREAM,V-830,V-850,V-870)の統合を図ったシリーズ.1984年5月に同社のオフィスコンピュータFACOM システム80の後継機としてFACOM Kシリーズ 4機種(FACOM K-10,K-230,K-240,K-250)6モデルが発表された.翌年1月,同社の小型コンピュータFACOM Vシリーズの後継機として上位機FACOM K-270およびK-280が発表され,オフィスコンピュータと小型機シリーズの統合を図ったFACOM Kシリーズが完成した.初代のFACOM Kシリーズは,その後のKシリーズ(1990年半ばまで継続)と区別するためFACOM K-200シリーズと呼ばれている.
このFACOM K-200シリーズは以下の特長を有する.
- (1)初めて分散プロセッサ方式を採用
-
- スタンドアロンとして使用可能な最下位機のオフィスコンピュータFACOM K-10を上位機のワークステーションとして使用することにより垂直分散処理を実現
- FACOM K-270/K-280同士を接続し,データや資源の相互利用を可能とし,水平分散処理を実現
- (2)小型機(FACOM Vシリーズ)とオフィスコンピュータ(FACOM システム80)をUNIOSアーキテクチャで統合
- (3)LSI化の推進,256KビットDRAMの採用,内蔵ディスクの小型化により,従来機種の1/4に小型化
1986年5月に2万ゲートCMOS LSIの採用による高性能・小型化,大容量キャッシュメモリ搭載による高性能化,世界初130MB高速小型大容量カートリッジテープの採用などの強化を図ったFACOM KシリーズRモデル10機種(K-200Rシリーズ9機種(K-220R/230R/240R/250R/260R/270R/280R/290R/300R)および卓上型オフィスコンピュータFACOM K-10R1機種)が発表された.1987年5月には,最上位機FACOM K-310Rが追加され,さらにFACOM K-600シリーズへと展開された.
表1にFACOM K-200シリーズの主要諸元を,表2にFACOM K-200シリーズRモデルの主要諸元を示す.
機種名 | K-230S,K-230 | K-240 | K-250,K-250L | K-270 | K-280 | |
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発表時期 | 1984年5月 | 1985年1月 | ||||
位置付け |
オフィスコンピュータ下位機 FACOM システム80シリーズの後継機 |
オフィスコンピュータ上位機 小型機FACOM Vシリーズの後継機 |
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CPU | 16ビットCMOS LSIプロセッサ FSSP | 同左+付加プロセッサ(AIPU) | 16ビットCMOS LSIプロセッサ FSSPと32ビットIPUによる機能分散マルチプロセッサ | |||
主記憶 | 記憶素子 | 256KbitダイナミックRAM | ||||
容量 (MB) |
0.5〜1 | 0.5〜2 |
K-250:1〜3 K-250L:1〜4 |
1〜7.75 | 2〜9 | |
最大内蔵ディスク容量 |
K-230S:20MB×2 K-230:43MB×2 |
68MB×3 |
K-250:134MB×3 K-250L:134MB×5 |
1.0GB | 3.3GB | |
最大ワークステーション接続台数 | 2台 | 4台 |
K-250:8台 K-250L:16台 |
28台 | 56台 | |
特徴 |
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(注)上記の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.
機種名 | K-220R | K-230R | K-240R | K-250R | K-260R |
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発表時期 | 1986年5月(K-310Rは1987年5月) | ||||
位置付け |
オフィスコンピュータ下位機 K-200シリーズ下位機の後継機 |
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CPU | 16ビットCMOS LSIプロセッサ FSSPII | ||||
主記憶容量 (MB) |
1〜2 | 1〜2 | 1〜4 | 1〜5 | 2〜7 |
最大内蔵ディスク容量 | 129MB | 204MB | 348MB | 650MB | 1GB |
最大ワークステーション接続台数 | 2/4台 | 4台 | 10台 | 20台 | 28台 |
機種名 | K-270R | K-280R | K-290R | K-300R | K-310R |
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発表時期 | 1986年5月(K-310Rは1987年5月) | ||||
位置付け |
オフィスコンピュータ上位機 K-200シリーズ上位機の後継機 |
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CPU | 16ビットCMOS LSIプロセッサ FSSPIIと32ビットIPUによる機能分散マルチプロセッサK-290R以上に大容量64KB Cacheメモリ搭載 | ||||
主記憶容量 (MB) |
1〜5 | 2〜8 | 3〜11 | 3〜15 | 7〜31 |
最大内蔵ディスク容量 | 650MB | 1GB | 2.3GB | 4.2GB | 7.1GB |
最大ワークステーション接続台数 | 16台 | 28台 | 56台 | 112台 |
(注)上記の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.