【富士通】 FACOM M-300シリーズ

富士通の汎用機FACOM M-100シリーズの後継機.FACOM M-300シリーズの最初の機種として,超大型汎用機FACOM M-380およびFACOM M-382(総称してM-380モデルグループと呼称)が,1981年5月に発表された.後に,FACOM M-380モデルグループの下位モデルの追加や,中型機FACOM M-310/320,FACOM M-340モデルグループおよび大型機FACOM M-360モデルグループが発表され,FACOM M-100シリーズの後継機としてFACOM M-300シリーズのラインアップが完成した(1983年).このシリーズは,以下の特徴を持つ.

(1)最新テクノロジの採用により価格性能比を向上
  • 大型機系には,チップ当たり最大1300または400ゲート,ゲート遅延時間350psの超高速ECL LSIと高密度実装技術(LSIおよびRAMを121個高密度実装可能なMCC(Multi-Chip Carrier),LSI間配線を短縮する50cm立方の3次元スタック構造)を採用
  • 中型機には,チップ当たり最大2000ゲート,ゲート遅延時間1.5nsの高速・高集積TTL LSIを採用
  • FACOM M-382は高速分岐機構などの採用によりFACOM M-200比3.8〜4.5倍の性能を達成
(2)大型機(FACOM M-360/380)で31ビット論理アドレスをサポートし,仮想空間を従来の16メガバイトから2ギガバイトに拡大
(3)高集積LSIの採用により省電力を実現し,FACOM M-310,M-320では汎用機では初めてオフィス設置を可能とした(改良機FACOM M-310E,M-320E,M-330Eでさらに省スペース化)
(4)高集積LSIの採用による部品点数の削減,RAS機能の充実により信頼性を向上
(5)容易なフィールドアップグレードを実現
(設置先でモデルグループ内上位モデルにアップグレード)
FACOM M-300シリーズ諸元
  FACOM
M-310,320
FACOM M-340
モデルグループ
FACOM M-360
モデルグループ
FACOM
M-380モデルグループ
発表時期 1982年6月 1983年2月 1982年6月 1981年5月
位置付け 中型機 大型機 超大型機
CPU 最大数 1 1 2 2
主要素子 2,000ゲート/チップ TTL LSI
遅延時間 1.5ns/ゲート
  • 1300,400ゲート/チップ ECL LSI,遅延時間 350ps/ゲート(1300ゲートはM-380のみ)
  • アクセスタイム5.5ns 4Kbit/モジュールおよび アクセスタイム16ns 16Kbit/モジュール RAM
バッファストレジ容量 - -/16/32/60KB 32KB/CPU ローカルバッファストレジ16/32/64KB/CPU グローバルバッファストレシ128/256KB
主記憶 記憶素子 64Kbit/チップMOS-LSI
最大記憶容量 M-320:6MB
M-310:4MB
16MB
(M-340Rは最大12MB)
M-360MP: 48MB
その他: 24MB
M-382:128MB
その他:64MB
最大搭載
チャネル数
6 8 (M-340Rは6) M-360MP: 24
その他: 12
64

(注) 上記の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.


FACOM M-382FACOM M-380 LSIアクセス5.5ns 4KビットRAMモジュール(左)とチップ当り1300/400ゲートのECL LSIFACOM M-380 MCCLSIを最大121個搭載可能なMCC(Multi Chip Carrier).サイズは31×29cm,14層(信号8層),信号は斜め配線を使用し,LSI間の配線距離を短縮(富士通沼津工場池田記念室に展示)
FACOM M-380 スタック最大13枚のMCCを収容可能な3次元スタック構造.MCC間は左右のサイドパネル(12層プリント板)で接続.MCCとサイドパネルの接続用にZIF(Zero Insertion Force)コネクタを新規開発.FACOM M-360FACOM M-340
  
FACOM M-310