計算機が実用化される前から,電信用に6単位の紙テープが使われていたが,効率よくデータを読み取るため富士通信機製造(現富士通)では,計算機用として60単位および72単位テープ読取機が開発された.しかしながら,機械式では計算機の速度の向上には追いつけないため,新たな方式が研究された.その結果,読取部に光電管およびフォトダイオードを使用することにより,読取速度を大幅に向上させた光電式テープ読取機が開発された.この最初の機種として,R-202形光電式テープ装置が1959年頃に完成した.その後,これを改良したR-208形,これをさらに高速化したR-212形が開発された.
これらの機種は以下の特徴を有した.
- (1)各種色のテープを無調整で読み取れる(R-208,R-212)
- (2)2列1ピッチ間隔で並列にならんだ読取ヘッドにより2度読みすることにより読み取りチェックが可能(R-208,R-212)
- (3)読取速度は2段切り替え
- (4)1桁ずつの読取が可能(FACOM 231/230-30)
- (5)設置条件が大幅に緩和された(商用電源直結可,専用空調不要)(R-212)
これらテープ読取機と計算機本体を接続するインタフェースが本体機種により異なるためFACOM 222/241用,FACOM 231用などにそれぞれ専用のテープ読取装置が開発された.しかし,FACOM 230-30(1964年5月発表)以降はインタフェースが標準化され,その標準インタフェースを採用したFACOM 749AおよびFACOM 749B/749Eは多数のコンピュータで使用された.
8単位の紙テープはコストおよび簡便性からミニコンを初め小規模システムにおいて長期にわたり使用された.
R-202形 | R-208形 | R-212形 | ||
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接続計算機 |
FACOM 222/241用 |
FACOM 743A | FACOM 747A | FACOM 747B |
FACOM 231用 |
R-202機械台 | FACOM 746A | - | |
FACOM 230-30他 |
- | FACOM 749A |
FACOM 749B FACOM 749E |
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使用テープ |
幅 22.2mm〜25.4mm 6単位または8単位 黒色テープのみ |
幅 22.2mm〜25.4mm 6単位または8単位 各種色テープ |
幅 22.2mm〜25.4mm 6単位または8単位 各種色テープ |
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読取速度 (桁/秒) |
200/400 | 200/400 | 600/1,200 | |
チェック | なし | Bit by Bit | Bit by Bit | |
停止距離 |
200桁/秒: ほぼ停止 信号の孔の上 400桁/秒: 停止信号の次の孔 |
1.0mm以内 ほぼ停止信号の孔の上 |
600字/秒:0.6mm 1,200字/秒:1.0mm ほぼ停止信号の孔の上 |
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1桁読取速度 (桁/秒) |
200 | 200 | 600 | |
電源内蔵 |
FACOM 743A:あり R-202機械台:なし |
FACOM 746A:光源ランプのみあり FACOM 747A:あり |
あり | |
周囲条件 |
温度22℃±5℃ 湿度40〜70% |
温度22℃±5℃ 湿度40〜70% |
温度20℃±15℃ 湿度40〜80% |
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筐体寸法W×D×H(mm) |
FACOM 743A: 500×530×960 R-202機械台: 610×484×925 |
600(755)× 640×967 |
600(755)× 640×1,007 |