FACOM 222は,富士通信機製造(現富士通)初めてのトランジスタ式コンピュータである.プロトタイプのFACOM 222Pが,1960年10月に製作を終え,翌1961年2月に試験を完了した.並行して開発された商用機FACOM 222Aが,1961年4月に製作を完了し,同年11月に協栄生命保険(後に事務機械部門が独立して協栄計算センターとなった)に納入された.本機は,当時の国産最大の汎用コンピュータで,固定小数点形式(符号+12桁)および浮動小数点形式(符号1桁,仮数 10進10桁,指数 2桁(-50〜+49))の数値を採用し,演算速度として,固定小数点加減算/乗算/除算 160μs /920μs(最大)/3,900μs,浮動小数点加減算/乗算/除算 350μs /800μs(最大)/3,300μs(平均)の性能を有した.記憶装置は,FACOM 222Pでは磁気ドラムを中心に構成されたが,FACOM 222Aでは,1万語の磁心記憶装置を主記憶に採用,補助記憶装置として磁気ドラム (1台1万語,最大10万語)を使用した.また,最大10台の磁気テープ装置など多数の入出力装置を接続でき,高効率な入出力動作を実現した.演算に関する5C2 Codeによるチェックを初め,完全チェック方式による高信頼性を実現し,商社,製造業,大学,計算センターなどで広く使用された.
FACOM 241は,FACOM 222Pの完成とほぼ同時期に開発され,FACOM 222Pから,事務用コンピュータとして不要な部分を削除し,小型化を図ったものである.