F6484は,IBM3590互換のテープ媒体を採用した富士通の高速磁気テープ装置であり,1999年6月に出荷が開始された.同社には,IBM3480互換テープ媒体を採用した磁気テープ装置として,既にF6470磁気テープ装置(1987年9月出荷),更に搭載ドライブを4台に拡張したF6473A磁気テープ装置(1991年3月出荷),36トラック記録方式を採用したF6473K磁気テープ装置(1993年7月出荷)があった.F6484磁気テープ装置は,高まる容量増大に対応するため,128トラック記録方式を採用することにより,36トラック磁気テープ装置から飛躍的に1巻当たりの記録容量を拡大した.本装置は以下の特徴を有した.
- (1)薄膜技術を利用した128トラック磁気ヘッドにより86,360バイト/インチの高記録密度を可能とし,1巻当たり最大10ギガバイトのデータ記録が可能
- (2)16トラックサーペンタイン(往復)方式を採用することにより,合計4往復で128トラック記録を可能にした
- 注:サーペンタインとは,テープを往復して記録する軌跡が蛇(serpentine)のようであることからきている.
- (3)13.5メガバイト/秒の高速データ転送が可能
F6484 磁気テープ装置 |
(参考) F6473K 磁気テープ装置 |
(参考) F6473A 磁気テープ装置 |
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出荷時期 | 1999年6月 | 1993年7月 | 1991年3月 |
テープ媒体 | シングルリールカートリッジテープ (1/2inch幅, 長さ2,070フィート) |
シングルリールカートリッジテープ (1/2inch幅, 長さ1080フィート(*1)) |
シングルリールカートリッジテープ (1/2inch幅, 長さ540フィート) |
カートリッジ外形(mm) | 110(W)×128(D) ×26(H) |
110(W)×128(D) ×26(H) |
110(W)×128(D) ×26(H) |
ドライブデッキ数(デッキ/台) | FACOM6484B4:4 FACOM6484B22:2 |
FACOM6473A4:4 FACOM6473A2:2 |
FACOM6473A4:4 FACOM6473A2:2 |
記録密度(byte/inch) | 86,360 | 75,742 | 37,871 |
記録トラック数 | 128(16 トラック4往復) | 36(18 トラック往復) | 18 |
記録方式 | RLL | GCR | GCR |
データ転送速度(MB/s) | 13.5 | 3.0 | 3.0 |
テープ走行速度(inch/s) | 156 | 78.7 | 78.7 |
記憶容量(1巻当たり) | 最大10GB(*2) (データ圧縮時約20GB) |
最大800MB(*2) (データ圧縮時約2,400MB) |
最大200MB(*3) (データ圧縮時約400MB) |
アクセス時間(ms) | 20 | 25 | 25 |
リワインド時間(s) | 55 | 40/80(*1) | 40 |
アンロード時間(s) | 20 | 7/10*1 | 7 |
複数媒体の自動装填 | 最大12巻収容の自動装填機能 | 最大6巻収容の自動装填機能 | 最大6巻収容の自動装填機能 |
*2: 32Kbyteのブロックサイズで2倍長テープに記録した場合
*3: 32Kbyteのブロックサイズで記録した場合