FACOM 6475は,VHS用媒体を使用した富士通のFACOM Mシリーズ用カートリッジテープ装置で,1985年6月に完成した.当時,磁気ディスク装置のデータの磁気テープへのバックアップに関し,処理時間の増大,テープ数の増大に伴う保管場所の確保と管理の煩雑化,およびバックアップ作業負荷の増大が問題となっていた.このような問題解決のために本装置は開発され,以下の特長を有した.
- (1) 高速バックアップ処理の実現
- 当時の同社最高速の磁気テープ装置FACOM 613Aの2倍の性能
- (2) テープ保管スペース効率の改善
- VHS媒体の採用と高密度記録(32,000BPI)により1巻当り最大280メガバイトの記憶容量を実現し,フルサイズのオープンリールテープに対し保管スペースを約1/8に削減
- (3) オペレータ操作の軽減
- 取り扱いが容易なカートリッジ型テープの採用に加えて,FACOM 6475A2では,最大10巻まで収容可能なカートリッジマガジンを採用し,最大2.8ギガバイト(当時のFACOM 6425磁気ディスク装置1台(4ボリューム))のバックアップ処理を1回のオペレータ操作で可能となりオペレータの負荷を大幅に軽減
FACOM 6475A1/A2 カートリッジテープ装置 |
(参考) FACOM 613A 磁気テープ装置 |
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完成時期 | 1985年6月 | 1977年12月 |
テープ媒体 |
VHSカートリッジテープ (1/2インチ幅,長さ800フィート) |
オープンリールテープ (1/2インチ幅,長さ2400フィート) |
ドライブデッキ数(デッキ/台) | 2 | 1 |
記録密度(バイト/インチ) | 32,000 | 6,250/1,600 |
記録トラック数 | 18 | 9 |
記録方式 | bi-GCR | GCR/PE |
データ転送速度(MB/秒) | 2.5 | 1.25/0.32 |
IBG長(インチ) | 0.08 | 0.3/0.6 |
テープ走行速度(インチ/秒) | 78.1 | 200 |
記憶容量(*1) (MB/ボリューム) | 最大 280 | 最大 170/44 |
アクセス時間 (ms) | 22 | 1.0 |
リポジショニング時間 (ms) | 85 | - |
リワインド時間 (秒) | 最大 52 | 最大 45 |
カートリッジマガジン機構 |
あり(FACOM 6475A2) 10巻/マガジン |
なし |
*1:32Kバイトのブロックサイズで記録した場合.