FACOM 611Aは,新記録方式GCR(Group Coded Recording)の採用により高密度記録および高性能を実現した富士通の磁気テープ装置であり,1976年に完成した.本装置は,以下の特長を有した.
- (1) 新しい記録方式GCRにより6,250RPIの高密度記録と781キロバイト毎秒の高速データ転送を実現 (従来は1,600RPI,320キロバイト毎秒)
- (2) GCR方式ではテープ読み取り時,1トラック上のエラーをオンザフライで訂正する機能に加え,エラー検出を強化
- (3) 従来の記録方式でも読み書きが可能
本装置のテープ速度は,125インチ毎秒であったが,翌年の1977年にはテープ速度を200インチ毎秒に高め,1.25メガバイト毎秒のデータ転送速度能力を実現した最高性能のFACOM 613Aが完成した.また,1981年には,小形,低価格でしかも磁気ディスクのバックアップ業務に適した新方式ストリーミングモードを有するFACOM 617およびFACOM 618が完成した.FACOM 618のストリーミングモードでのデータ転送速度は1.25メガバイト毎秒と当時の最高性能のFACOM 613Aと同等性能を実現しながら,その設置面積はFACOM 613Aの60%に低減された.さらに,1986年には,FACOM 618と同じ大きさでありながら,通常モードでもFACOM 613Aと同じ1.25メガバイト毎秒の転送速度を実現したFACOM 619が完成した.
FACOM 611A/E | FACOM 613A/E | FACOM 617A/B/E | FACOM 618A/B/E | FACOM 619A/B | ||
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完成時期 | 1976年 | 1977年12月 | 1981年12月 | 1982年11月 | 1986年3月 | |
記録密度(RPI) |
A:6250/1600, E:1600/800 |
A:6250, B:6250/1600, E:1600/800 |
A:6250, B:6250/1600 |
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テープ速度 (インチ/秒) |
125 | 200 | 125(ストリーミングモード) / 75(通常モード) |
200(ストリーミングモード) / 125(通常モード) |
200 | |
巻き戻し時間(秒) | 50 | 45 | 55 | 69 | ||
データ転送 速度 |
通常モード(KB/秒) |
A:781 /200 E:200 /100 |
A:1,250 /320 E:320 /160 |
A:470 B:470 /120 E:120 /60 |
A:781 B:781 /200 E:200 /100 |
A:1,250 B:1,250 /320 |
ストリーミングモード | - | - |
A:781 B:781 /200 E:200 /100 |
A:1,250 B:1,250 /320 E:320 /160 |
- | |
記録形式 | GCR(6250RPI) /PE(1600RPI) /NRZI(800RPI) | |||||
トラック数 | 9 | |||||
テープ駆動方式 | シングルキャプスタン/真空コラム方式 | |||||
主要接続システム | 大型FACOM M-100シリーズ |