HITAC 301の完成に引続いて1960年に,事務計算を主体とし,中企業を対象に安価で手軽に設置して運用のできる小型電子計算機という目標のもとに開発が始ったのがHITAC 201であった.
仕様案を社内の事務管理部門の人々にも提示して意見を求めながら検討を進めた結果,1)低価格の磁気テープ装置を開発し,ソートが可能な4台程度のデッキを接続可能とする.2)カナ文字入りラインプリンタを接続する.3)記憶容量は4,000語程度持ち,事務計算に便利な命令体系を持つ,などの目標設定がなされた.
基本回路はHITAC 301のものをさらに改良し,実装方式も変更して実装密度を向上させた.
磁気ドラムはHIPAC 101用のものをさらに大容量低コスト化し,ベルト駆動で9,000RPMを実現した.当時はコーティングが主流で,外部空気をとり入れた冷却方式を採用していたが,この磁気ドラムはメッキ方式の採用と完全密封方式を特長とした.
磁気テープ装置は,当時KDC-1用に日立として初めて開発したばかりであったが,低価格化のために,小型リール(容量30万桁)を採用し,速度は1,000桁/秒の仕様で,1台の装置に4組のユニットを実装し,制御回路の共用化をはかった.
この試作は1961年3月に完成し,本格的な小型事務用計算機の登場ということで市場の注目をあびた.
演算方式 | 10進直列 固定小数点 |
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語長 | 符号+11桁 |
命令 | 1 1/2 アドレス 37種 |
演算速度 加減算 乗除算 |
(除く待ち時間) 4 ms 30 ms |
記憶装置 容量 平均待ち時間 |
磁気ドラム 4,000語 3.3 ms |
入出力装置 | 光電式紙テープリーダ さん孔タイプライタ ラインプリンタ(120行/分) |
磁気テープ装置 速度 密度 容量 |
4デッキ 0.5 m/s 1,000桁/s 2桁/mm 30万桁/リール |