京都大学と日立製作所が1959年に共同開発した電子計算機.電気試験所のETLMark Vをベースに開発され,我が国大学向けとしては最初のゲルマニュームトランジスタ計算機であり,実用機である.クロック230KHzで浮動小数点演算機能を持つ.磁気ドラムに加え磁気コアマトリックス,磁気テープ装置も開発された.1959年暮れに本体主要部が稼働し、浮動小数点演算部を含め本体のすべてが1960年4月に完成した.1960年7月には磁気テープ装置を含むKDC-I全体が完成し、京都大学工学部に設置された.1961年1月に我が国大学初の計算センターである「電子計算機室」が発足し,同年4月よりKDC-Iによる全学サービスが開始され,約15年間共同利用された.KDC-Iは日立製作所でHITAC102Bとして商品化され,経済企画庁などに納入された.同機は,産学共同開発,国産機の政府機関による採用という観点からみても記念すべきものである.