【日本電気】 MOD IV

MOD IVは,NEAC-シリーズ2200モデル400500等の中大型機の処理能力を最大限に発揮させるためマルチプログラミングの機能強化を中心に開発された.ハードウェアの記憶保護機能を利用して,最大20個の独立したプログラムを実行することができた.
オペレーティングシステムは,コントロールプログラム(System Monitor),言語プロセッサ,ユーティリティプログラム等のサービスプログラムから構成されていた.


図-1

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MOD IVの特長としては,以下の点が挙げられる.

  • 20個の独立したプログラムの同時実行
  • メモリおよび入出力装置のダイナミックな割り当て
  • 実行中のプログラム間およびモニターの記憶保護
  • 複数個のプログラム間で共用される入出力装置上のファイルおよびレコードの保護
  • 4段階のジョブの優先度(job priority)
  • 入出力ファイルの装置独立性
  • 各種アカウンティング情報の作成
  • カタログ プロシージャ(catalogued procedure)
  • 通信回路を利用した実時間処理
  • 障害処理
  • モジュール構造による機能のオプション化と自動システム生成
  • MOD I,MOD IIIとの互換性
  • 多数の言語翻訳プログラムと豊富な各種ユーティリティプログラム
  • 豊富なデバッグ手段
(1)コントロールプログラム(System Monitor)
コントロールプログラムは,OSの中核となるレジデントモニタ,入出力装置の制御を行うIOFCS(Input Output File Control System),通信メッセージを制御するコミュニケーションサブシテム,ジョブのスケジュールを行うスケジューラ,ジョブステップで使用する入出力装置の割り当て等を行うトランジショナルモニタ,インプットリーダ,アウトプットライタの機能から構成されていた.レジデントモニタ,IOFCS,コミュニケーションサブシステムは,主記憶のシステムレジデント領域に常駐し,その他のものは非常駐でユーザプログラムと同様に必要に応じて起動され,ユーザオペレーティングエリアのパーティションで実行されるプログラムである.


図-2

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(2)言語プロセッサ
プログラミング言語にはアセンブラ言語,事務処理用のCOBOL,科学技術計算用のFORTRANおよびALGOL,システムプログラム記述用のBPLが提供されていた.BPLは,COBOLやFORTRANより小回りがきいてアセンブラより記述性の高い言語として制御システムの開発において活用された.COBOLは,CODASYL COBOL1965を基本として当時のJIS COBOL原案の言語要素をほとんど網羅しており日本の実情に合わせてカタカナも使用できた.
(3)サービスプログラム
OSとユーザプログラムとの間の処理を円滑にするための道具として,また同時にシステムを補う目的で各種Utilityプログラム群が提供されていた.Utilityにはボリュームやファイルの作成,削除,バックアップ等を行うBasic Utility,ユーザのデータの作成,更新,保守を行うData File Utility,プログラムの保守を行うProgram File Utility,ユーザデータの分類のためのSort/Merge Utility,そしてレポート作成のための統計処理言語STAGEが用意されていた.

MOD IVの完成により大型汎用OSとしての基礎が確立され,その後 NEAC-シリーズ2200モデル575,モデル700でのワードタイプ命令,21ビットアドレス空間をサポートしたMOD IV EXが開発された.