VOS1/ESの後継OSで,部門分散処理に適した汎用中型OSであった.
VOS1/ES2はVOS1/ESからの連続性を維持するとともに,分散設置した部門コンピュータとホストコンピュータを連携させる部門分散システム(DDC),帳票データ配布加工システム(Form-MMC),拡張ホストアクセス機能などの高度な分散処理機能を実現した.
さらに,プロセッサの高性能化に対応して,OS基本部の構造を改良し,システム容量の拡大とシステム性能向上を図った.
VOS1/ES2が稼働するハードウェアはM-630/M-640/M-660であった.
図-1にVOS1/ES2の開発のねらいと特長を示す.
図-1「VOS1/ES2の開発のねらいと特長」
VOS1/ES2は1987年9月発表,1988年3月から出荷を開始した.
VOS1/ES2は汎用中型OSとして以下のような特長があった.
特長
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説明
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部門分散システム(DDC:Distributed Department Computer Connection)のサポート
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ホストコンピュータ側のEDP部門主導で,部門コンピュータの業務プログラムの開発・管理・配布,部門業務の実行監視・情報収集,電源のオン,オフなどを行う分散処理形態
WSの日本語メニューガイダンスによる対話操作で運用可能
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帳票データ配布加工システム(Form-MMC)
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WSとの機能分散によるマイクロメインフレーム結合(MMC)として,バッチおよびオンラインの実行結果の帳票データを直接WSに配布し,WSでの加工を可能としたシステム
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拡張ホストアクセス機能
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ホスト側のオンライン・対話ユーザプログラムとWS側のユーザプログラム間の自由な通信手段を提供する機能.これにより,WSに機能分散した業務作成が容易
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オンライン・対話操作の一元化
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対話メニュー(ユーザ業務メニュー)からのオンライン業務の実行およびオンライン帳票のスプール経由出力のサポートにより,オンラインと対話操作の統一を実現
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システム容量の拡大
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実記憶容量128MBをサポートし,仮想記憶制御方式はVOS1/ESから引き続き中小型機に適したマルチステージ方式を採用
システムステージを31ビットアドレス(最大2GB)に拡張し,システム規模の拡大,性能向上を実現
ユーザステージは24ビットアドレス(16MB)のステージを複数面持ち,既存プログラムの互換性を保証
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図-2にこれまでのVOS1/ESでのホスト集中処理とVOS1/ES2を使った部門分散処理の比較を示す.部門分散処理ではVOS1/ES2がホストシステムと部門システムの両方で使われている.
図-2「ホスト集中処理と部門分散処理」
図-3に帳票データ配布加工システムForm-MMCと従来の形態との比較を示す.従来のやり方だと紙の帳票を再入力する必要があったが,Form-MMCを使えばバッチおよびオンラインの実行結果の帳票データが直接WSに配布されるので,WSでの加工が可能となる.