市販機と同等の価格性能比を維持し,ユーザのプログラム資産の継承と発展を狙いとして,1986年半ばからDIPS-11/5Eシリーズ後継機の開発の検討がNTT研究所で開始された.5EXシリーズでは,100MBIT/S光ループによる複合構成は5Eシリーズをそのまま継承するなど,アーキテクチャの拡大は最小限にとどめ,ハードウェア開発は製造会社技術を活用する方針のもとに進められた.
1988年度初めに開発を開始し,5Eシリーズの各モデルの性能を1.5〜2倍改良することを目標に,モデル5EX,15EX,25EX,45EXの開発が進められ,1990年度〜1991年度にかけて試作を完了した (DIPS-11/5EXシリーズの主要諸元) .
5EXシリーズではチャネルの技術として光インタフェースを用いた直列転送方式を実現し,従来の電気信号による最大転送速度ケーブル長120メートルで約6メガバイト/秒を大幅に超える,転送速度18メガバイト/秒,最大ケーブル長約2kmを可能とした.
また,高速光ループインタフェースの距離を増大する独立型のI/Oインタフェース延長装置を開発し,利用者が数十km以上離れた遠隔地から情報処理センタにアクセスできるようにし,距離を克服した利用を可能とした.
ダウンサイジングの進展動向,MIA/SPIRIT仕様による汎用コンピュータの調達への展開などを踏まえて,1969年から始まったNTT,日本電気,日立製作所,富士通によるDIPS共同研究は,5EXシリーズの開発完了をもって1992年3月に終了することとなった.
並行してDIPS-11/5EXシリーズ用CCP(DIPS CCP-IEX, CCP-IIEX)を開発した.
項 目 | モデル5EX | モデル15EX | モデル25EX | モデル45EX | (参考)DIPS-1 | ||
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性能(DIPS-11/10比) | 9 | 14 | 32 | 30 | 0.7 | ||
システム | CPU台数 | 2 | 4 | 4 | |||
最大主記憶容量(MB) | 512 | 1024 | 16 | ||||
総チャネル数 | 32 | 64 | 256 | 128 | 16 | ||
処理装置 (CPU) |
命令数 | 220 | 160 | ||||
ローカルメモリ容量 (KB) | 64 | 256 | 128 | 8/16 | |||
バッファメモリ容量 (KB) | 512 | 1024 | − | − | − | ||
主要論理素子(G/チップ) | 2K ECL LSI | 12K ECL LSI | 12K ECL LSI | 15K ECL LSI | ECL SSI,MSI | ||
記憶装置 (MEM) |
制御単位 (MB) | 32 | 64 | 1 | |||
増設単位 (MB) | 32 | 512 | 128 | 1 | |||
記憶素子(bチップ) | 4M DRAM | 1M SRAM | 磁気コア | ||||
転送装置 (DCH) |
チャネル種類 | 6種類 | 12種類 | 4種類 | |||
最大スループット(MB/S) | 96 | 283 | 400 | 768 | 12 |