1979年に,DIPS-11/5シリーズの後継機として5Eシリーズの検討が電電公社(現NTT)研究所で開始され,情報処理システムセンタの処理能力増強,柔軟なシステム構成,さらにセンタシステムの大規模化に伴う一層の高信頼度化の要求に対応し,1982年8月に開発計画がスタートした.その主な特徴は,(1)大規模でかつ拡張性に富むシステム構成および高信頼度システムの実現,(2)高性能化,コスト性能比の改善,(3)運転保守の集中化,省力化,自動化の実現にあった.
具体的には,(1)に関して,高速の光ループシステムによるプロセッサ間接続を実現する複合システム構成の実用化,(2)に関して,高集積・高速論理LSI,256キロビットメモリ素子等の最新ハードウェアテクノロジーの採用,およびプロセッサの装置構成にダイアディック構成,ダイアディック構成×2の装置構成を採用,(3)に関しては,装置台数や種類に関係なく電源制御,構成制御等を行える制御ループ方式の採用,およびシステム制御プロセッサの導入による運転保守機能の集中化,自動化および遠隔化である.
DIPS-11/5Eシリーズは,モデル5E,15E,25E,45Eの4モデルで構成され,1985年9月にモデル25Eおよび複合システムの試作を完了,モデル15Eは1986年3月,45Eは1986年度中頃に,モデル5Eは1987年度初めにそれぞれ試作を完了した (DIPS-11/5Eシリーズの主要諸元) .
5Eシリーズでは,世界に先駆けて100メガビット/秒の高速光ループにより複数のホストプロセッサ(CPU)と複数の通信制御プロセッサ(FEP)を接続制御する複合構成システムを実用化した.
併せて,DIPS-11/5Eシリーズ用CCP(DIPS CCP-IE, CCP-IIE),及びDIPSデータベース処理装置(RINDA)を実用化した.
項 目 | モデル5E | モデル15E | モデル25E | モデル45E | (参考)DIPS-1 | |
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性能(DIPS-11/10比) | 4.5 | 9 | 10 | 20 | 0.7 | |
システム | CPU台数 | 1 | 2 | 4 | 4 | |
最大主記憶容量 (MB) |
128 | 256 | 512 | 16 | ||
総チャネル数 | 16 | 32 | 128 | 16 | ||
処理装置 (CPU) |
命令数 | 220 | 160 | |||
ローカルメモリ容量 (KB) | 32 | 64 | 128 | 8/16 | ||
バッファメモリ容量 (KB) | 256 | 512 | − | − | ||
主要論理素子 (G/チップ) |
2K ECL LSI | 2K ECL LSI | 300 ECL LSI | 3K ECL LSI | ECL SSI,MSI | |
記憶装置 (MEM) |
制御単位 (MB) | 8 | 16 | 32 | 1 | |
増設単位 (MB) | 32 | 16/128 | 1 | |||
記憶素子 (b/チップ) |
1M DRAM | 256 SRAM | 磁気コア | |||
転送装置 (DCH) |
チャネル種類 | 6種類 | 4種類 | |||
最大スループット (MB/s) |
70 | 96 | 100 | 384 | 12 |