DIPS-11/10シリーズの後継機として,分散処理方式の実現,超LSI導入による技術先導性の確保と競争力の強化において1977年10月より11/5シリーズの開発が電電公社(現NTT)研究所で開始された.具体的には,通信制御処理装置(CCP)の改善,ファイル制御処理装置(FCP)の新規開発,64キロバイト/チップメモリ等の導入,中規模モデルの追加(モデル5),およびDIPS-11モデル10,20,30の後継機として処理能力を向上させたモデル15,25,35の開発計画としてスタートした.さらに,約1年後には,DIPS超高性能機として,最上位機であるモデル45の開発が追加され,5モデルに展開し性能レンジを大幅に拡大することとなった.
最下位モデルであるモデル5とFCPは,ハードウェアの共通化を図りFCPには,レベルごとのレジスタスタックやファームウェアによる専用命令,CPUとの高性能な結合機能などファイル処理向き機能の付加した開発が進められ,1979年12月にはモデル5およびFCPの試作機が同時に完成した.また,モデル15および35は1980年9月に試作を完了,モデル25は高性能論理LSIおよび高密度実装技術の全面採用により新規設計に計画を変更し1981年4月に試作機を完成した.
DIPS-11モデル45は,2段バッファ制御方式の採用,主記憶容量の16メガバイトから128メガバイトへの拡大,サービスプロセッサの導入など先進技術による開発を進め,1982年3月には,世界最高性能レベルを実現する試作機を完成した.
DIPS-11/5シリーズ用通信制御処理装置(CCP) として,7400系CCPの開発が進められ,7400CCPおよび7410CCPの2モデルが1980年までに完成した.
項 目 |
モデル5 (FCP) |
モデル15 | モデル25 | モデル35 | モデル45 | 記 事 | |
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性 能 (モデル10比) | 0.8 | 1.5 | 2.4 | 3.1 | 8 | ||
システム | CPU台数 | 1 | 2 | ||||
最大主記憶容量(MB) | 8 | 16 | 128 | ||||
CHC台数 | −* | 4 | *CPUに組み込み | ||||
CHC当りチャネル数 | 8 | 16 | |||||
C P U | 命令数 | 163* | 171 | 169 | 176 | *FCPは131命令 | |
アドレス変換バッファ (エントリ数) |
64×2 | 256×2 | 128×2 | 256×2 | |||
ローカルメモリ容量 (KB) |
− | 16/32 | 32/64 | 32/64 | 64 | ||
バッファメモリ容量 (KB) |
− | − | − | − | 128/256/512* | *MCU当たり | |
主要論理素子 | MECL10K |
200ゲート 1200ゲート LCML LSI |
100ゲート ECL LSI |
400ゲート 1300ゲート ECL LSI |
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M E M | 制御単位(MB) | 8 | 32 | ||||
増設単位(MB) | 1 | 2 |
2 (初期 4) |
4 | |||
最大スループット (MB/s) |
30 | 60 | 80 | 160 | 160 | ||
記憶素子 | MOSメモリ(64kb/チップ) | ||||||
D C H | チャネル種類 | バーストモードチャネル,マルチプレクスモードチャネル | |||||
CHC最大スルーブット (MB/s) |
8 | 12 | 12 | 12 | 23 |