公開日:2004年11月5日
最終更新日: 2023年9月4日
富士通のパーソナル向け日本語ワードプロセッサで,1986年11月に発表された.同社のポータブルワープロとしてOASYS Liteシリーズがあったが,ワープロの普及に伴い,ニーズが多様化してきた.この多様なニーズに応えるため,OASYS Lite F・ROM(フロム)シリーズでは,ワープロ本体と拡張ソフトウェア(専用ICカードで提供)を別々に提供する新しい概念を採用してコストアップの抑制と機能の拡張性を実現した.また,パーソナルワープロとして,同時に発表されたOASYS 30AFとともに,初めてパソコン通信機能を可能とした.F・ROM7(フロム セブン)はプリンタとフロッピィを一体化した普及機で,F・ROM9(フロム ナイン)はプリンタ分離型で軽量・コンパクトを実現した機種であり,以下の特徴を有した.
- (1)チルト式大型液晶画面を搭載(Lite F・ROM7 40字×5行,Lite F・ROM9 40字×10行)
- (2)3.5インチフロッピィディスクを搭載し,最大23万文字(A4判で約190ページ)を記憶
- (3)2枚のF・ROMカードの使用により機能拡張が可能
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豊富な文字種(明朝体・ゴシック体・教科書体・毛筆体・まる文字など)
はがき宛名印刷ソフト,文書用RAMカード など多数のF・ROMカードが提供された - (4)モデムまたはカプラを利用したパソコン通信機能を初めて提供
- (5)分類機能と検索機能および四則演算機能を装備
その後,1987年5月には,モデムを内蔵したOASYS Lite F・ROM9MDや改良機F・ROM8,1987年10月にはF・ROM10,さらに1988年6月にはF・ROM10S,F・ROM11,F・ROM11Dが発表された.F・ROM11Dでは,バックライト付液晶ディスプレイが採用された.
機種 | OASYS Lite F・ROM7 | OASYS Lite F・ROM9 | OASYS Lite F・ROM11D | |
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発表時期 | 1986年11月 | 1988年6月 | ||
タイプ | プリンタ一体型 | プリンタ分離型 | プリンタ一体型 | |
入力方式 | 対話式かな漢字自動変換方式,文節入力,最新使用優先学習方式(保存機能付) | |||
キーボード |
親指シフトキーボード, 五十音配列マスク(オプション) |
親指シフトキーボード, JIS配列ひらがなキーボード |
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表示 | 種類 | チルト式液晶ディスプレイ | チルト式バックライト付液晶ディスプレイ | |
文字数 |
40字×5行 (メッセージ行1行含む) |
40字×10行 (メッセージ行1行含む) |
40字×10行 (メッセージ行1行含む) |
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文書 | 本体内 | 7,200字 | 33,600字 | |
フロッピィ | 3.5インチフロッピィディスク1台 標準装備:約23万字 | |||
単語辞書 | 一般単語:約40,000語,ユーザ登録語:約200語(F・ROM11Dは800語) | |||
プリンタ | B4 24ドット,熱転写,はがき印刷可 | |||
重量 | 5.1kg |
本体:約2.3kg プリンタ:約2.0kg |
約5.1kg | |
電源 |
電池駆動(単1×4本) またはAC100V |
本体:電池駆動(単2×4本)またはAC100V プリンタ:電池駆動(単1×4本)またはAC100V |
鉛電池またはAC100V |
(注)上記の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.