富士通の日本語ワードプロセッサの当時の最上位機で,同社初のワードプロセッサはOASYS 100(1980年5月発表)の上位機として1982年11月に発表された.これは,以下の特徴を有した.
- (1) A4判フルスクリーンの17インチ縦型大画面採用(48文字×65行表示)
- (2) 40×40ドットで高品質・高速印字(A4判文書毎分10枚)が可能なレーザプリンタを標準装備
- (3) 従来の自動罫線機能に加え,直線や円,長方形などが描ける線画作成機能を提供
- (4) 文字の拡大,縮小のほか,上下の添字や網掛けなど多様な文書作成機能を追加
日本語ワードプロセッサは,平均単価が1980年から1985年の5年間で10分の1以下に低下する(1980年 200万円,1985年16.4万円)一方で,ビジネス用上位機では,文書処理機能・高品質印字や使いやすさを追求した機種が開発された.本機では,前述した文書作成の高度化のため従来の8ビットMPUに代えインテル社の16ビットMPU(86系)を採用した.また,本機用に開発された高品質・高速印字が可能なレーザプリンタは,OASYS 100G本体価格の170万円よりも高い250万円という高価格で,重さが88kgと非常に重いものであった.
本機の後には,ディスプレイ,キーボードを分離したコンポスタイルの斬新なデザインおよび首振り機構付きディスプレイなどを採用したOASYS 100GS,見やすく目が疲れにくい24ドット表示でホワイトCRTを採用したOASYS 100GX,32ビットMPUの採用による高速化,電子出版(EP)機能を搭載したOASYS 300Aなどが開発された.
また,日本語入力方式は,初期モデルにおける単純な単語変換から,OASYS 100GSにおけるかな漢字変換の自動化と文節変換,さらにOASYS 300Aでは複文節変換へと進化した.
機種 | OASYS100G | OASYS100GS | OASYS100GX |
OASYS300A モデル45 |
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発表時期 | 1982年11月 | 1984年5月 | 1986年2月 | 1988年8月 | |
入力方式 | 対話式かな漢字変換 |
対話式かな漢字自動変換 文節変換 |
対話式かな漢字自動変換 文節変換/ 複文節変換 |
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キーボード |
親指シフトキーボード またはJIS配列キーボード (ともにテンキー付) |
親指シフトキーボード またはJIS配列/ 新JIS配列キーボード (ともにテンキー付, マウス装着可) |
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ディスプレイ | 種類 |
17インチ縦型 グリーングラフィックCRT |
14インチ縦型 グリーン グラフィックCRT |
16インチ縦型 ホワイト グラフィックCRT (白黒反転表示可) |
17インチ縦型 ホワイト グラフィックCRT (白黒反転表示可) |
文字数 |
48字×65行 (16ドット表示) |
48字×63行 (24ドット表示) |
48字×65行(24ドット) 72字×68行(16ドット) |
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フロッピィディスク |
5インチ 2台 (辞書用,文書用 各1台) |
5インチ(3.2MB)2台, 3.5インチ1台 |
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ハードディスク | システム用1台 | システム用1台 |
システム・文書用 1台 (文書記憶容量 A4判 1,100ページ) |
システム・文書用 51MB 1台 (文書記憶容量 最大A4 2,000ページ) |
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主要プリンタ |
レーザ方式,最大40×40ドット, 10枚/分(A4判),B4判, 2段カセット給紙方式(250枚/カセット) |
レーザ方式,480dpi, 12枚/分(A4判), A3判 |
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外形寸法および(*)重量 | 本体部 |
550×480× 470,43kg |
210×400× 340,18kg |
210×400× 340,18.2kg |
240×470× 430,21.0kg |
ディスプレイ | (本体と一体) |
280×340× 396,8kg |
320×350× 460,15.8kg |
350×379× 493,18.8kg |
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キーボード |
510×230× 653,5kg |
486×205× 35,3kg |
486×205× 35,3kg |
486×205× 45,1.9kg |
*:W×D×H,単位mm
(注)上記の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.