富士通のスーパーコンピュータFACOM VPシリーズEモデルの後継機.1988年12月にFUJITSU VP2000シリーズが発表された.本シリーズは,以下の特徴を持つ.
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(1)最先端の超高速,高密度LSIの採用により単一CPUとして世界最高速の5ギガFLOPSを実現
(FUJITSU VP2600/10) - (2)並列実行能力の拡大による実効性能の向上 (FACOM VP-400Eに対し約3倍)
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- 汎用演算パイプラインを2本搭載(加算・乗算・加算&乗算・論理演算が任意の組合せで並列動作可能とした.FACOM VPシリーズEモデルでは,2つの乗算の並列動作はできなかった)
- マスクパイプラインの強化によりマスク演算の並列処理を可能とした
- 除算パイプライン処理性能強化(除算命令はFACOM VPシリーズEモデルの約5倍高速)
- (3)DSP(Dual-Scalar Processor)方式の採用によりシステムの柔軟性と経済性を向上
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1台のベクトルユニットを2台のスカラユニットで共有する新しいマルチプロセッサ
(ソフトウェアはベクトルユニットが共有されていることを意識する必要がないのでベクトルユニットの使用率が向上する) - 単一プロセッサ構成からデュアルスカラプロセッサ構成に容易にフィールドアップグレード可能(スカラユニットを1台増設)
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1台のベクトルユニットを2台のスカラユニットで共有する新しいマルチプロセッサ
- (4)新たに採用したシステム記憶により,システムスループットと入出力性能の向上を実現
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主記憶装置との間でデータ転送が可能なシステム記憶装置
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最大8ギガバイトの大容量,高速転送能力(システム記憶から主記憶への転送は2ギガバイト/秒,主記憶からシステム記憶への転送は1ギガバイト/秒)
- ベクトル処理のスワップ域や入出力の仮想ファイルに使用
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主記憶装置との間でデータ転送が可能なシステム記憶装置
- (5)省スペース,省電力
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- VPシリーズEモデルに対し約3/4の設置面積,約2/3の消費電力を実現
VP2100/10 VP2100/20 |
VP2200/10 VP2200/20 |
VP2400/10 VP2400/20 |
VP2600/10 VP2600/20 |
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発表時期 | 1988年12月 | ||||||
最大ベクトル性能 (GFLOPS) |
0.5 | 1 | 2 | 5 | |||
ベクトル 処理装置 |
VU(ベクトルユニット)台数 | 1 | |||||
SU(スカラユニット)台数 | VP2100/20,2200/20,2400/20,2600/20: 2 | ||||||
VP2100/10,2200/10,2400/10,2600/10: 1 | |||||||
ベクトルレジスタ容量 | 32KB/SU | 64KB/SU | 128KB/SU | ||||
ベクトル パイプライン |
本数 | 5 | 7 | ||||
太さ | 1 | 2 | 4 | ||||
並列動作可能数 | 4 | 6 | |||||
バッファストレジ容量 | 128KB/SU | ||||||
主要素子 |
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主記憶 | メモリ素子 | 1Mbit スタティックRAM, アクセスタイム35ns | |||||
装置 | 容量(MB) | 32〜1024 | 64〜1024 | 128〜1024 | 256〜2048 | ||
システム記憶容量 (GB) | 1,2,4,6,8 | ||||||
最大搭載チャネル数 | 128 |
(注) 上記の諸元は発表時のもので,その後の改良で変更されている場合がある.