【富士通】 FM Rシリーズ

富士通のビジネス用パソコンFM16βの後継機.1987年1月にFM R-60,R-50,R-30の3機種が発表された. FM R-60は,従来機FM16βFD比約30%高速化,1,120×750ドットの高精細グラフィクス採用,24ドット漢字表示機能を有した最上位機.FM R-50は,FM R-60の能力で640×480ドットグラッフィクス採用のハイコストパフォーマンス機.FM R-30は,逆T字のユニークなデザインのコンパクトなボディに640×480ドット大型ディスプレイと3.5インチフロッピーディスクを収容した省スペース機.従来機FM16βは高速でかつ機能も優れ,ハードウェアは高いレベルにあった.しかし,MS-DOSへの対応の遅れによりソフトウェアの品揃えが進まなかったことから,FM Rシリーズでは,MS-DOSを標準とし,本格的なビジネスパソコンを目指して開発され,以下の特徴を持つ(FM RシリーズのRは,"Refresh"と"Revolution"の頭文字を意味した)

(1) 8086系 CPU路線を踏襲,MS-DOSに一本化
(2) ハードウェアのシリーズ化(FM R-30/50/60 3機種6タイプ)により利用者の要求に合った選択が可能
(3) 日本語入力を統一(OASYSかな漢字変換機能)
(4) 日本語ワープロOASYSシリーズとの融合を実現するFM-OASYSを提供
(5) ホスト接続,パソコン通信,LANなど各種通信機能を装備
(6) ビジネスパソコンとして必要なハードウェア・ソフトウェアの品揃えを充実

その後,32ビット CPU 80386を搭載したFM R-70が追加され性能強化を図られた.また,省スペース対応のトランスポータブル機FM R-30BX(1987年)とFM R-30HX(重量約9kg,1988年),ラップトップ機FM R-10LT(連続使用1〜4時間のバッテリ駆動,重量5kg,1988年)とFM R-50LT(FM R-50互換,プラズマディスプレイ採用のラップトップパソコン,重量約7.6/7.5kg,1988年)が製品化された.FM Rシリーズは,AT互換機FM-Vが出る1993年まで富士通の主流のビジネスパソコンとなった.また,FM-Rシリーズの仕様が開示され,松下電器よりPanacom Mシリーズが製品化された.

FM Rシリーズ諸元
  FM R
-30
(FD,HD)
FM R
-50
(FD,HD)
FM R
-60
(FD,HD)
FM R
-70
(HD)
FM R
-30HX
FM R
-50LT
(LT5/
LT2)
タイプ 省スペース型
デスクトップ
デスクトップ トランスポータブル型 ラップトップ型
発表時期 1987年1月 1987年
9月
1988年 1988年
CPU 80C86
(8MHz)
80286
(8MHz)
80386
(16MHz)
80L286
(8MHz)
80286
(8MHz)
数値演算プロセッサ(オプション) - 80287
(8MHz)
80387
(16MHz)
- -
R
A
M
メイ
ンメ
モリ
0.5〜
1MB
1〜5MB 2〜
10MB
0.5〜
1MB
1〜
3MB
グラ
フィ
ック
VR
AM
128KB 256KB 512KB 128KB 256KB

デバイス 内蔵LCD CRT 内蔵LCD(白黒) プラズマディスプレイ:単色16階調表示
日本

表示
40字×
25/20行
(16ドット)
40字×
25行
(16ドット)
40字×25行
(24ドット)
40字×25/20行
(16ドット)
グラ
フィ
ック
640
×400
ドット
640
×400
ドット
1120×750ドット 640
×400
ドット
640
×400
ドット
4096色中16色指定
漢字
RO
M
JIS第1水準漢字,JIS第2水準漢字,JIS非漢字,ユーザ登録188種 標準
内蔵フロッピーディスク 3.5inch
1MB
×2
5inch1MB×2 3.5inch
1MB
×2
3.5inch
1MB
×1/2
内蔵ハードディスク 20MB×1(HDタイプのみ) 40MB
×1
20MB
×1
20MB
×1/0
主要ソフトウェア MS-DOS V3.1,F-BASIC86 HG,FM-OASYS 左記+
  • 日本語MS OS/2,
  • 漢字XENIX
MS-DOS V3.1,F-BASIC86 HG,FM-OASYS

FM R-60FDFM R-30FDFM R-30HX
  
FM R-50LT