1980年代に入ると,LSI技術の進歩による処理装置の低廉化や,データの発生/利用場所の広域化に伴って,データ通信システムは通信網や宅内装置などが高機能化し,分散処理ネットワークシステムへと進化していった.ネットワークシステムでは,センタとネットワーク内各ノードとの機能分担や運転・保守の統一性がシステムのパフォーマンスを大きく左右するので,機能配分の自由度の向上,ソフトウェア開発・保守の効率化およびネットワークシステム運転・保守の効率化等を狙いとしてDIPSネットワークOS(DIPS-106-10OS)の開発が行われることとなった.
DIPS-106-10OSは,従来のDIPS-104-03OSをベースに,小型DIPS-Vシリーズをサポートした.これにより,中大型/小型DIPS間でのソフトウェア開発環境の統合やソフトウェア流通を可能とする一方,ネットワーク運転・保守機能の拡充を図った.また,大規模情報処理への適応性の向上を図ると共に,日本語情報処理機能の拡充を図るなど,大幅な機能拡充を実施した.
小型システムでは1984年央に病院情報システム,線路管理,INSモデルシステム等に導入,大型システムでは科学技術計算システム,東京郵政センタ,社会保険データシステム,電話局局統合支援システム,料金業務統合システム等に導入された.