104-03OSは,構造整備された標準OSを基に,DIPS-11/5シリーズ等の新規ハードウェアのサポート,分散処理機能の拡充,利用者が用いる計算機資源の大型化への対処等を行った.
- (1)分散処理方式の拡充
- システムの構成技術として,当時分散処理方式がコスト性能比の改善,高信頼化,保守運用性の向上などで注目されていた.DIPSにおいてもすでに計算機間通信機能によるホスト間の機能分散,マルチプロセッサ方式による負荷分散,通信処理のFEPへの分散などが行われていた.104−03OSでは,分散処理方式の拡充として以下のように進めた.
- (i) 大規模データベースの効率よい制御実現のため,ファイル処理を専用プロセッサに分担させる後置専用プロセッサ(BEP:Back End Processor)方式
- (ii) 外部記憶装置を複数計算機で共用する疎結合マルチプロセッサ(LCMP:Loose Coupled Multi Processor)方式
- (iii) データ通信アーキテクチャ(通信プロトコル)のDCNA化の進展
- (iv) インテリジェンシを持つ大規模記憶装置(MSS:Mass Storage System)等の周辺装置をサポートし,ホスト負荷軽減を図る
- (2)大規模処理向けの資源制御方式の確立
- 当時,LSIの設計自動化や大規模データベースでの計算機の利用が進められ,これにより、プログラムの大きさや処理時間,ファイル量が当時としてはきわめて大規模になってきていた.(プログラムサイズが100メガバイト,ファイルサイズも数十ギガバイトオーダーの規模).これらの処理に対応すべく、大規模処理向けに資源制御方式の見直しを実施した.
- (3)DIPS-11/5シリーズ等の新ハードウェアサポート
- 104-03OSでは、本体系装置の性能向上、および周辺系装置の大容量化等に対応した。周辺装置のバリエーション拡大として、MSSやディスク,日本語処理等をサポートしたプリンタ,この当時パーソナルコンピュータの利用が拡大し始めたことによるデータ交換のためのフロッピーディスクI/O等に対応した.