【日本電気】 ACOS-6/NVX PX

ACOS-6/NVX PX(Parallel eXtended)は日本電気の大型汎用機用オペレーティングシステムとして,1996年3月に発表され,1996年12月から出荷された.
ACOS-6/NVX PXは,先に出荷した大型汎用機用オペレーティングシステムACOS−6/NVXからのソフトウェア資産を継承しつつ,同時に出荷したパラレルACOSシリーズのシステムPX7900が採用した高性能CMOSプロセッサによる並列処理技術を実現した,大型,超大型機向けのオペレーティングシステムである.ACOS−6/NVX PXは,システムPX7900に搭載された.
新しく採用したアーキテクチャ,および主な機能についての特長は以下の通りである.

1.アーキテクチャの特長
(1)1チップCMOSプロセッサを採用
メモリ共有型の最大8個のCMOSプロセッサによるSMP(Symmetric Multi Processing)構成をとり,並列処理によるシステムのスループットを向上させた.
(2)オペレーティングシステムの並列処理基盤技術
ジョブへのCPU割付け機構(パラレルディスパッチング)により,CPUキャッシュ効率を最大に引き出すとともに,主記憶装置へのプロセッサ間アクセス競合を最小化した.

2.機能の特長
(1)パラレルバッチ機能/パラレルファイルアクセス機能
従来逐次処理をしていたバッチジョブステップから,並列に処理可能なジョブステップに分割して複数のプロセッサ上で並列に実行し,最後にジョブステップの処理結果を結合するパラレルバッチ機能を実現した.また,並列に処理する複数のジョブステップ間で同一の順編成ファイルに対して出力と入力を実行させるために,順編成ファイルの出力処理ポジションと入力処理ポジションとの追いかけ処理を制御するパラレルファイルアクセス機能を実現した.


図1.パラレルバッチ

図1.パラレルバッチ


(2)パラレルOLTP機能
高いトラフィックのオンライントランザクション業務において,OLTPモニタが自動的に投入業務の種類によってトランザクションを振り分ける業務分散機能と,ホスト間の負荷に基づいてトランザクションを振り分ける負荷分散機能を提供し,複数のコンピューティングパワーを効率的に利用することを可能とした.


図2.パラレルOLTP

図2.パラレルOLTP


(3)オープンシステム連携機能OLF(Open Link Facilities)
従来のACOS-6/NVXから提供してきた5つのオープン連携機能を一層強化,体系化し,オープンシステム環境の中でのホストコンピュータ資産の継続活用を可能とした.
1.トランザクション連携 (OLF/TP)
ACOS-4(VISII)/UNIX/Windows上のトランザクションモニタとの連携,Windowsクライアント環境のGUI画面からの利用
2. データベース連携 (OLF/DB)
UNIXやWindows上のデータベース(ORACLE)への転送配信,Windows環境からのホストデータベースアクセスAPI(ODBC)のサポート
3. ファイル連携 (OLF/FL)
オープンシステムから利用できるリモートファイルサーバ
4. デリバリ連携 (OLF/DL)
オープンシステム配下のプリンタへの帳票配信と,UNIXからの帳票集信
5. ジョブ連携 (OLF/JB)
UNIXからのジョブ投入を受けるNQSサーバ


 
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