【日本電気】 ACOS-6/MVX II

日本電気は,1988年11月に,ACOS-6/MVX II(Multiple Virtual eXtended II)を発表し,1989年3月から出荷開始した.
ACOS-6/MVX IIは,先に出荷した大型機向けオペレーティングシステムACOS-6およびACOS-6/MVXから上位互換性を保ちつつ,機能性,拡張性,信頼性を強化した,大型,超大型機向けのオペレーティングシステムである.ACOS-6/MVXに比べ,大規模高性能リレーショナルデータベースシステム,高可用性を追求するホットスタンバイ型フォルトトレラントシステムの構築を可能とした.ACOS-6/MVX IIは,ACOS-6/MVXで稼働していたシステム830システム850システム930システム1000システム2000の上位互換後継OSとして搭載された.

新しく採用したアーキテクチャ,および主な機能についての特長は以下の通りである.

1.アーキテクチャの特長
(1)仮想空間の拡大
プログラムの大規模化に対応し,1枚の仮想空間サイズを従来の1ギガバイトから4ギガバイトに拡大した.これにより,システムあたり2テラバイトの仮想空間を有し,大規模な演算処理および高速なデータベース処理を可能にした.


図-1

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2.機能の特長
(1)統合オンラインデータベース
ACOS-6から継承性のあるネットワーク型データベースADBS(Advanced Data Base System)の強化に加えて,ACOS-6/MVXから継承性のあるRIQS(Relational Information Query System)からの大容量化と処理性能および操作性を強化した高性能リレーショナルデータベースRIQS IIを提供した.また,オンラインデータベース検索や報告書作成機能を有したTQF IIを提供した.これらの上に,高性能・高信頼のトランザクション処理システムTDS-AFによって,さらに高度なオンラインデータベースを構築できるようになった.
(2)プログラミング言語と開発環境
COBOL85,C言語への強化対応を行うとともに,高生産性言語IDL II(Integrated Data oriented Language II),および,ソフトウェア開発支援システムSOFPIA(Software Productivity Improvement Aid),分散開発環境SOFPIA PWB(Personal Work Bench)に対応し,効率性の高いアプリケーション開発環境を実現した.
(3)自動化周辺装置,高速化周辺装置への対応
業務の拡大に対応し,通信の高速化,ファイルの大容量化,高速化,自動化の要求に応え,高速FNP(Front-end Network Processor)装置への対応,オペレータ不要なカートリッジライブラリ装置の採用,大容量高速ディスク装置の採用,高速プリンタ装置への対応等を実現した.
(4)ネットワーク標準化への対応
OSI(Open Systems Interconnection;開放型システム間相互接続)の標準化動向に伴い,ACOS-6/MVX II上の各種OSIアプリケーションが接続相手OSIシステムと通信できるようにした.第1層(物理層)から第5層(セション層)をOSIS,ATAM,NPS-AFがサポートし.第7層(応用サービス)として,ファイル転送(FTAM),メッセージ/メール送受信(MOTIS/MHS)をサポートした.
(5)UNIX(*)接続への対応
オープンサーバとの業務連携のニーズに応え,ACOS-6/MVX IIとUNIXマシンとのネットワーク接続性の強化として,TCP/IP通信を介してTELNET,FTP,UNIXファイルサーバ,NQSバッチリクエスト等の機能を提供した.
(*:UNIXは米国AT&Tが開発しライセンスしているオペレーティングシステム)


図-2

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マニュアルの表紙マニュアルの記述サンプル