【日本電気】 ACOS-2

日本電気は1974年5月にACOS-2を発表し,9月に出荷開始した.
小型コンピュータシステムにおけるオペレーティングシステムとしてACOSシステム200250をカバーし,小型機領域における利用者ニーズ,すなわち,容易に手軽に使用できるようにするための設計思想を採っている.

主な機能の特長は以下の通りである.

(1)多様なジョブ実行環境と高い保全性
多重プログラミング機能により,バッチ処理,コミュニケーション処理,出力ライタ処理などの組合せで柔軟なジョブ実行が可能.プリンタ出力に対するスプーリングにより,高いスループットも保持している.さらに各種ハードウェア,ソフトウェアの誤動作によるエラーを検出し,自動再試行や縮退によるシステム再構成を行えるなど,システムの基盤となる部分に関し高い保全性を備えている.
(2)自動化・省力化機能
自動化・省力化運転を指向し,電源投入/切断の自動化,システムの自動立ち上げ/停止,予約業務の自動実行,ジョブネットワーク,操作卓からのワンタッチ操作,データ媒体と業務プログラムを結びつけるデータドリブンの機能等を実装している.
(3)業務の発生の現場にコンピュータを開放する対話処理システムPWSS
PWSS(Personal Work Station System)は,対話形式によりワークステーションから業務の選択や実行,さらに業務プログラムの作成を行える.
  • システムに直結のワークステーションも回線接続のワークステーションも機能・操作性はまったく同じ.
  • エンドユーザ向けの対話型ユーティリティが豊富でデータ入力,ファイル更新・照会,報告書作成,テキスト編集等のほかに対話型作成言語も提供.
  • ワークステーション間,システムとワークステーション間のメッセージ交換のためのメール機能を実装している.
(4)日本語の特長をシステムに標準化・体系化して取り入れた日本語情報処理システム
表意文字としての漢字と表音文字としてのカナ文字とを自由に使用できるよう配慮している.日本語辞書の作成/保守プログラムや辞書へのアクセスルーチン,日本語プリンタへの印字を制御するための書式オーバレイ情報や印字制御情報の管理プログラム,対話処理システムやデータベースシステムでの日本語による運用,高級言語による日本語処理プログラムの作成,日本語処理用の応用ソフトウェアの提供,日本語処理ターミナルや日本語プリンタの活用を通し,日本語をより身近な道具として,時代のニーズに応えるものとした.
(5)ネットワークシステム
日本電気のネットワークアーキテクチャDINA(Distributed Information-processing Network Architecture)を構成する中枢システムとして,中大型コンピュータの従局,あるいは,端末やオフィスコンピュータの主局となり,または両者の中間に位置する中継ノード的働きを行う.ACOS-2に接続されている端末を,ACOS-2の上位に接続されているコンピュータの端末としてみえるようにするコントロールパススルー機能や,中大型コンピュータの能力・資源を有効利用するRJE(Remote Job Entry)機能も実現している.
(6)データベースシステム
小型コンピュータに適したデータベースとしてCODASYL型データベースに索引機能を追加しアクセスに柔軟性をもたせ,開発当初よりユーティリティプログラムを完備し,導入・構築の標準化を進め,利用者プログラムの作成が最小限でできるように考慮している.さらにDB/DC(Data Base/Data Communication)を指向したデータベースとして保全の自動化や復旧処理の簡略化,オンライン処理に充分な性能等に配慮している.統合CAEシステムにより,各種設計・解析システムを提供した.