【日本電気】 ACOS シリーズ77システム200, 300, 400, 500(*)

1974年5月,日本電気と東芝は,ACOSシリーズ77システム200,300,400,500(以下それぞれS200,S300,S400,S500と表示)を発表した.

(1) S200
小型コンピュータとしての最適のアーキテクチャを設定し,上位機種であるシステムS300,S400,S500と共通のハードウェア技術を利用するという前提で開発された.中央処理装置の制御方式としてファームウェア技術を採り入れ,主記憶および論理回路でLSI,MSIを積極的に使用している.障害対策としてマイクロ診断機能,システム再構成機能を採り入れて稼働性の向上を図るとともに,S300,S400,S500との間でソース/プログラムとデータファイルの互換性を有している.主記憶部の記憶素子として1KのNチャネルMOS LSI(18ピン)を使用し,また,ファームウェア格納用の読み出し専用記憶ユニットとしてのROS(Read Only Storage)の記憶素子としては,書き込み制御可能な1K PROMを採用している.
(2) S300,S400,S500
S300,S400,S500のアーキテクチャは,従来あったアーキテクチャ(S200のそれも含む)を土台として,その上に斬新的な拡張を施したものである.その特徴として以下のようなものが挙げられる.(1)プロセスの概念を導入することにより,仮想のコンピュータを構成し,物理的な意味で1台しか存在しないコンピュータを多数のプロセスが時間的,空間的に共有することができる.(2)2次元アドレス空間を設定して,主記憶を論理的な単位(セグメント)に分割することにより,セグメント単位でロジックを修正したり貸し与えたりすることが可能となり,プログラミングが楽になる.(3)入出力信号,アテンション信号等の物理的な事象と非同期に実行する他のプロセスから送られる論理的な事象,これら事象という概念を導入することによりプロセス間の同期/管理を行うことができる.その他に入出力処理,例外処理についても効率化が図られている.
S300,S400,S500は,中央処理装置,操作卓と3種のI/Oサブシステム,すなわちユニット・レコード・サブシステム,マス・ストレージ・サブシステム,磁気テープ・サブシステムから構成されている.論理ICとして,システム500の中央処理装置では平均2ns/ゲートのECLを,S300,S400,S500では平均5nsのTTLを使用し,主記憶装置としてはS500には4K RAMをS300,S400には1K RAMを使っている.

(*)ACOS:Advanced Comprehensive Operating System


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