NDOSはHITAC 8250用OSで,主記憶装置が32KB?64KBを中心とする小中規模中型機ユーザを主対象に開発した.
NDOSは1972年7月発表,1973年2月から出荷を開始した.
NDOSは以下のような特長を持っていた.
特長
|
説明
|
多様な運用形態
|
オープン制からセンタ運営的なクローズ制まで各種運用形態に対応できるよう,ジョブ実行形式として,単独処理,連続処理,スプール処理の3種を用意している.
|
操作性の向上
|
効率よいシステム運営ができるよう種々の工夫により操作性をよくしている.
- コンソールディスプレイの採用
- パラメタの低減
- ディスクファイルのインラインスペース割当
- ジョブステップのスキップ制御
|
豊富な言語プロセッサ
|
各種業務処理に適合するように言語プロセッサとしてアセンブラ,RPG,COBOL,FORTRAN,PL/Iを用意している.
|
実時間処理支援機能
|
オンラインプログラムをより安く,より早く,容易に作成できるよう種々の機能を用意している.
- 実時間処理向き汎用パッケージ(TMSI)
- コミュニケーション入出力シミュレーション機能
- オフラインシーク機能
- マルチタスク制御機能
- リエントラント構造のプログラム作成機能
- ロールアウト・ロールイン機能
|
センタ運営への配慮
|
円滑なセンタ運営のための機能をサポートしている.
- 課金ファイル,コンソール画面退避ファイル,障害ファイルなど,センタ管理向きシステムファイルのサポート
- 私用ライブラリと公用ライブラリのサポート
- ジョブの打切り機能
|
豊富なユーティリティプログラム
|
ユーティリティプログラムとして,ボリューム保守,ファイル保守,ライブラリ保守,リンケージエディタ,ソート/マージ,デバッグ支援を用意している.
|
図-1にHITAC 8250のソフトウェア構成を示す.これに示すようにアプリケーションパッケージも充実しており,オンライン用パッケージ,データベース用パッケージ,その他,数値計算,統計計算,図形処理などのアプリケーションがあった.
図-1「HITAC 8250のソフトウェア構成」
HITAC 8250 NDOSは小中規模ユーザ向けだけでなく,リモートバッチステーションとしても利用された.図-2はHITAC 8250をリモートバッチステーションとして組み込んだコンピュータネットワークシステムの例である.
図-2「コンピュータネットワークシステム例」
リモートバッチ端末処理プログラムRESP(Remote Batch Station Program)は,HITAC 8700/8800やHITAC M-160II/170/180などの大形コンピュータを親コンピュータ,HITAC 8250を子コンピュータとし,子コンピュータで入力した負荷の大きなジョブを遠隔地の親コンピュータに送り,親コンピュータで高速処理をして結果を子コンピュータに戻す処理をする汎用プログラムである.
リモートバッチ処理プログラムRMT(Remote Batch Program)は,さらにミニコンピュータHITAC 20/10IIを孫コンピュータとし,孫コンピュータからのジョブをHITAC 8250で処理して,結果を孫コンピュータに返す処理をする汎用プログラムである.
また,オンラインコントロール汎用パッケージTMS-1(Transaction Management System-1)は,従来オンラインシステムの建設を困難にしていた回線,端末の制御,トランザクションのキューイングおよびバッファリング,ジャーナル取得と回復処理などの複雑な処理をユーザプログラムに代わって実行するプログラムパッケージである.