【東芝】 TP90/70

企業/組織の中央コンピュータの領域をターゲットにして,1990年に東芝が販売を開始したTP90シリーズの最上位モデル.TP90シリーズとしては,1991年に下位モデルである,TP90/20,30,40,50,60の各モデルの販売が開始され,ラインアップが整った.

TP90シリーズでは,ネットワークに分散するコンピュータが,それぞれ業務を構成する一部分を分担しながら相互に協調連携しながら処理を進める「協調分散処理」を中心のコンセプトとして開発された.TP90シリーズの主な特長は次のとおりである.

(1)シングルアーキテクチャによる広い性能帯域のカバー
TP90シリーズはV-7000シリーズの上位機であり,シングルアーキテクチャを採用しているが,その一方でCPUの高速化,対称型マルチプロセッササポートなどにより,V-7000シリーズ下位モデルV-7030の13倍の性能を実現している.さらに,アドオンエンハンスメントと呼ばれるクラスタ構成を採用することにより,50倍の性能レンジを実現している.
(2)フィールドアップグレード
業務量やデータベース容量増加に伴うハードウェアの段階的拡張が,ユーザの運用現場で可能.同一筐体内での最大3台までのCPU増設はもとより,最大4台までの計算機本体のクラスタ構成化(TP90シリーズでは,アドオンエンハンスメントと呼ぶ)が可能.
(3)高信頼性
- 二重化構成(マルチCPUでの自動縮退,ディスクドライブとアクセスパス二重化)
- 主メモリ自動縮退
- アドオンエンハンスメントによるFail-Over機能
- ジャーナルリカバリによるデータベース/ファイルの保全
(4)V-7000のネットワーク機能の踏襲
- OSIを含む130種類にのぼる通信プロトコルのサポート
- VNETによる分散処理
(5)分散OLTP
ユーザにネットワークやデータベースを意識させることなく,エンドユーザに最適なクライアント計算機上の画面処理がサーバ上のトランザクション処理とがネットワークを介して動的に連動することでトランザクション処理を実行可能とする「分散OLTP」機能をサポートしている.分散OLTPでは,二相コミットによる分散データベースアクセスが可能である.
(6)最先端の半導体技術による高性能化
CPUには,新開発の3層アルミ配線実効容量10万ゲートのCMOS LSIを採用.

TP90/70には,TP90/73,TP90/75,TP90/77の3つのモデルがあり,主な仕様は以下のとおりである.

 
  TP90/73 TP90/75 TP90/77
本体 CPU台数 1 2 3
アドオン構成
メモリ 容量(MB) 8〜88
補助記憶装置 FDD(内蔵) 基本装備:1MB/3.5" 増設:1MB/5"
FDD(外置) 最大64台(1MB 3.5"/5"/8")
磁気ディスク装置 0.7GB〜22.4GB
磁気テープ装置 オープンリール:スタートストップ式,PE/GCR,1600/6250bpi,200ips
オープンリール:ストリーマ式,PE/GCR,1600/6250bpi,100ips
カートリッジ :ストリーマ式,GCR,6250bpi,120ips,300MB
半導体ファイル 最大256MB
光ディスク装置 5GB,最大12台,オートチェンジャー有
「統合ファイル」システム 接続可
ワークステーション ディスプレイタイプ J-5010,J-5010L,J-5080,J-3100シリーズ,J-3300シリーズ
OCRタイプ OCR-V595,V3050,V3030,V3010
最大接続台数 512台
入出力機器 ラインプリンタ ラインプリンタ:800LPM
漢字ラインプリンタ:200LPM/360LPM
ページプリンタ:20PPM,1250LPM/3000LPM
漢字シリアルプリンタ:100CPS/125CPS/135CPS
イメージスキャナ 搬送型:200dpi/400dpi,最大A1
静止型:400dpi/300dpi/240dpi,A4/A5/B5
通信回線 最大192回線
その他 ファクシミリ通信制御など

  
TOSHIBA TP90/70モデル