FACOM 521は,富士通信機製造(現富士通)の活字ドラム方式(注)を採用した高速度印刷装置の商用第1号機で,1960年8月に完成した.同社の初期のプリンタは,タイプバー方式を採用していたが,相当重量があるのとタイプバーを不連続に上下させるため印刷速度は,毎分100行程度が限界であった.一方,コンピュータの性能向上にともなって,毎分数百行から数千行の印刷速度が要求されていた.そこで,同社では,新たな方式として活字ドラム方式を開発した.数度にわたる試作を経て,1960年に毎分500行の高速度印刷装置FACOM 521が完成した.その後,さらに各種の改良を加えて印刷速度を800行/分に高めたFACOM 641が開発された.
注) 当初は,2桁分の活字リングを60枚積み重ねて120桁に組み上げた活字ドラムで,「タイプホイール方式」,あるいは「活字輪方式」と称していた.
FACOM 521 | FACOM 641 | |
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完成時期 | 1960年8月 | 1964年3月 |
印刷方式 | 活字ドラム方式 (タイプホイール方式) | |
印刷速度 |
50字種 500行/分 100字種 300行/分 |
50字種 800行/分 100字種 460行/分 |
文字種 |
50字種(*1):数字(10),アルファベット(26),記号(13),スペース(1) 100字種:数字(10),アルファベット(26),記号(15),スペース(1),ブランク(1),カタカナ(47) |
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印字桁数 | 120桁/行 | |
接続システム | FACOM 222P,FACOM 222A | FACOM 222A,FACOM 241,FACOM 231 |
*1:高速印刷のため2セットの文字種を搭載.