日本初の実用リレー計算機FACOM 100用として開発された富士通信機製造(現富士通)のプリンタで,1954年10月に完成した.同社では,1950年代にプリンタの開発を始めたが,計算機用として高速印刷を可能とするため,初期のプリンタでは,タイプバー方式が採用された.これは,数字,記号およびスペースの15種類の活字を備えたタイプバー(縦長の棒状)を60列並べ,バーを上下させて各列の文字を選択した後,ハンマーが動作して1行60字を一斉に印刷できるようにしたラインプリンタ(当時はまだラインプリンタとは呼んでいなかった)である.
本機(43形60桁印刷機)に続き,タイプバー方式を採用したプリンタとして,何機種かの60桁印刷機,および100桁印刷機が開発された.この中の一つ60形プリンタ(60桁印刷機,印刷速度 100行/分)が,同社の沼津工場の池田敏雄記念室にて,リレー計算機FACOM 128Bに接続されて,展示されている.このシステムは現在でも,正常に動作している.