【富士通】 FACOM 100

日本初の実用リレー式自動計算機で,富士通信機製造(現富士通)により1954年10月に完成.FACOM 100の本体は,約4,500個のリレーで構成され,回路制御は非同期方式,プログラムは60単位の紙テープ(繰り返し使用するプログラムは不燃性フィルムを使用)より読み取って実行した.数値は,有効桁8桁を有する正負99桁の整数から小数点以下99桁までの範囲を取り扱う浮動小数点方式を採用し,演算は2進化10進法で行った.8桁の演算速度として,加減算 0.35秒,乗算 1.8秒,除算 5.0秒の性能を有した.リレーの信頼度を考慮して自己チェック機能を採用し,演算の各過程で計算結果が常に誤りがないことを確認し,もし誤りがあった場合には,再度演算をやり直し,正しければ演算は続行され,もし2回目も誤りであれば,機械が止まり,表示灯に故障個所が明示された.リレーは,演算用 5台,制御用4台,記憶装置用4台,合計13台のリレー架に実装され,畳24畳分と巨体のため移動はできなかったが,電動計算機等を用いて人手により計算を行った場合の40〜100倍の計算速度を持っていたため,企業や大学からの委託計算に利用された.


 
FACOM 100FACOM 100システムを構成する装置