富士通は,計算機の周辺装置についても独自の技術開発を進め,FACOM 222の時に自主技術による周辺装置が一通り揃った.1961年頃に,大型機FACOM 222用カード装置として,カード読取機FACOM 661およびFACOM 663,カードさん孔機FACOM 681およびFACOM 682,カード読取さん孔機(カード上の情報を読み取って計算機に送り同一カード上に計算機の情報をさん孔するカード読取さん孔機)FACOM 701およびFACOM 702が完成した.これらの装置は,以下の特徴を有した.
- (1)80欄または90欄のIBMカードを使用(90欄用の装置には型名にRがつく)
- (2)高速である
- 先行していた外国メーカに劣らず高速.特に,パルスモータを使用しているため計算機から命令が出てカードが動き出すまでのアクセスタイムが短い.
- (3)安定堅固である
- 読取部は太陽電池を用いた光電式で,ブラッシュ式読取のようなブラッシュの磨耗やカードの損傷がなく,さん孔部分にけばがあっても正確に読取ることができる.
- (4)チェック機構を完備し,誤った情報の入出力を防止している
大型コンピュータFACOM 222には,計算機とカード機との結合時間を短縮するためバッファ付制御部を経由して接続され,小型コンピュータFACOM 231とFACOM 241,および中型コンピュータFACOM 230-30には,装置の価格を安くするためバッファなし制御部を経由して接続された.
後に,1966年頃,処理速度は据え置いて,小形化・安定度・コスト・使いやすさに重点をおいたFACOM 664カード読取機,FACOM 683カードさん孔機が開発された.
FACOM 661(R) FACOM 663(R) |
FACOM 681(R) FACOM 682(R) |
FACOM 701(R) FACOM 702(R) |
FACOM 664 |
FACOM 683 |
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装置の種類 | カード読取機 | カードさん孔機 | カード読取さん孔機 |
カード 読取機 |
カード さん孔機 |
完成時期 | 1961年頃(推定) | 1966年頃(推定) | |||
主な接続計算機 | |||||
使用カード | 80欄(90欄:型名の最後にRがつく*1) | 80欄,90欄 | |||
読取速度*2 (枚/分) |
F661:500 F663:800 |
- |
F701:200 F702:250 |
570/800 | - |
さん孔速度*2 (枚/分) |
- |
F681:200 F682:250 |
F701:200 F702:250 |
- | 250 |
チェック |
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ホッパ | 2,800枚のマガジン+ホッパ約250枚 | 3,000枚(ファイルフィード付) | |||
スタッカ | 800枚×2組 | ||||
外形寸法 (mm) |
1,050(W)×750(D)×1,200(H) |
1,195(W)×750(D) ×1,220(H) |
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重量 (kg) |
360 | 540 | 550 | 400 | 600 |
*1:90欄カード用は型名にRがつく(例 FACOM 661R).
*2:FACOMをFと略して表記.例えば,F661はFACOM 661を意味する.